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カテゴリ:考古学
「弥生ってなに⁉」国立歴史民俗博物館企画展示図録(2014) 図書館でたまたま見つけた。しかし、この表紙に騙されてはいけない。非常に高度で冒険に満ちた内容だった。返却最終日に読み始めたので、また借りることになると思う(流通に乗っていないので買うわけにはいかない、博物館に行くには遠すぎる)。まさか、こんな面白い企画展示をしていたとは思いもしなかった。 弥生時代は従来のBC5世紀ではなく、BC10世紀から始まったという説を立てた、藤尾慎一郎氏の全面指導で作られ、文章も半分以上氏が書いている。それの説明図録かと思いきや、その説明はほとんどなくて、「東日本から見た弥生時代」という、かつて見たことも想像したこともない展示になっていたみたいだ。 去年の10月に明治大学博物館を見た時に、砂沢弥生遺跡の土器に紛うことなき縄文土器の特徴が現れていて、私だけの発見かと思いきや、既に十分研究(しかし本格的研究はこれからだろう)されているのでした(^_^;)。つまり、西日本らしい弥生時代は、新潟から群馬、埼玉、千葉を結ぶ線より西に限られており、栃木、茨城、福島、宮城のように水田耕作は行うものの農耕社会が成立していたかはわからず、古墳時代に突入する地域や、青森のように水田耕作を300年近く行ったあとに水田耕作をやめ、もとの採集狩猟生活に戻った地域もあったらしい。以下の図がわかりやすい。 各論の論述も面白かった。 弥生時代における縄文文化の伝統は、呪術具にも幾つかある(綾羅木郷・石棒状石製品、西川津・流水紋遠賀川式土器)、抜歯。 大陸系譜。朝鮮半島由来のもの。特に前期末-中期初頭に金属器が来た。中国由来のもの。特に中国鏡。 弥生オリジナル。銅鐸の祭り。遺体埋葬用土器(縄文にもあったが、成人のは弥生のみ。金海式甕棺は埋葬用に転用したもの)。分銅型土製品、打製石剣、特殊壺と特殊器台、人面付土器。 その他いろいろあるが、今回はここまで。 2016年1月11日 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016年01月12日 15時11分05秒
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