|
テーマ:映画館で観た映画(8350)
カテゴリ:邦画(12~)
県労会議機関紙に掲載された今月の映画評です。
「百円の恋」 去年観た映画で、ベスト2の作品を紹介します。負けっぱなしで百均のように安っぽく見られる人生。そんな女が、百円ショップから始まった初めての恋だけど、恋を原動力に再出発する話です。恋だけは百円ほど安くはない。 私は一生懸命頑張る女の子の話に弱いんです。安藤サクラは女の子じゃないけど、32歳ならば私にとってはギリギリ女の子みたいなもの。 冒頭にぶよぶよに太った彼女が出てきます。 その役者魂、見事です。実家で自堕落な生活を送るニートの一子(安藤サクラ)は妹とのケンカをきっかけに家を出て百円ショップで働き始めます。この店が、また負け犬の吹き溜まりのような店。そんな時、ボクシングジムで練習する狩野(新井浩文)と出会い、不器用な恋が始まるのです。 一子が狩野に恋をする理由は、実はよくわかりません。でも恋が生き方を変える原動力になるのはよくわかります。狩野と同じボクシングを始めてみたり、手料理も作り出す。狩野は引退試合にも負けていたせいか、そういう彼女の変化にいや気がさして去ってゆきます。失恋してから、一子はボクシングに打ち込み、プロ資格をとるのです。 この時の安藤サクラの頑張りが鬼気迫ります。しかもインタビューを読むとたった10日間で絞ったという。いくら役の上だといっても、すごいです。是非、映像で確かめて欲しい。 安藤サクラは名俳優や名監督を家族に持つサラブレッドの家系です。しかしこの作品では彼女は、700人以上のオーディションを勝ち抜いて自力で主演を獲っています。そんなハングリーさがよく作品に出ている。日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を獲ったのも当然です。 クライマックスはガチのボクシングの激しい試合でした。完全ボクシング体型と技術を持った彼女の「痛い」試合を観ることが出来ます。 そして、ラスト。ある方向に歩いて行くんだけど、作品的には必然かもしれないけど、私は完全に親心になっているから「オイオイ、そっちはダメだよ」と心のなかで叫んでいました。 脚本は第一回「松田優作賞」グランプリの足立紳。監督は武正晴。(2014年作品、レンタル可能 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[邦画(12~)] カテゴリの最新記事
|
|