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カテゴリ:読書フィクション(12~)
「五年の梅」乙川優三郎 新潮文庫 山本周五郎賞受賞作らしい。その山本周五郎とナント藤沢周平の後継者だという小さな書評を読んだので手にとった。当たり前ではあるが、人間観察の手法も、文体も、2人とは大きく違っていた。 「後瀬の花」まるで高級クラブのホステスに入れ込んだサラリーマンが、2人手にとって夜逃げをしたような内容。落ちの付け方が、今まで見たことのないようなやり方で、先ず最初の短編としてはショック。最近の時代劇小説って、こうなの? 「行き道」まるで、介護疲れをしている妻の迷いのような設定。人に助言をしながら、本当は自分に言い聞かせているのは、老若男女古今東西あることだろう。 「小田原鰹」鹿蔵のような男は、現代でも何人か居るように思える。というか、金と不幸を人のせいにしか出来ない人間が、人との繋がりの大切さに気がつくまでに十数年かかった鹿蔵は、現代でもまだ珍しいパターンなのかもしれない。 「蟹」出世よりも、大切な人を大事にする優秀な男に出逢って、初めて恋をする、わけありの女性の話。 「五年の梅」短慮だけど、誠実で行動力のある若者の五年越しのラブストーリー。 ひとつわかったのは、藤沢周平には決してなれない。あまりにも明る過ぎる。山本周五郎を目指して、何処まで行くか。 2016年11月20日読了 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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