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テーマ:本日の1冊(3685)
カテゴリ:読書(ノンフィクション12~)
「土佐源氏」宮本常一 (「忘れられた日本人」(1960)より) 池澤夏樹に「小説よりおもしろい」と言わしめる作品である。私もインタビュー記事を書いたことがあるのでわかるが、これだけの内容を聞き出すとすれば、優に4ー5時間を2回は繰り返さなくてはならない。もちろん信頼関係が出来上がってからの話だから、本当は数日かかる。私は、民俗採取の真似事をしたこともあるが、1時間じっくり話を伺って使えるのは一言二言分しかない事ばっかりだった。ところが、記録によれば、宮本常一の村への滞在はたった1日の数時間だったらしい。信じられない密度である。小説よりおもしろいが、これは明らかに民俗採取である。馬喰や盗人宿、こうぞつくり、夜這い、etc。今は無くなっている豊かな民俗がここにある。それから10数年後に書かれた「生活の記録」の中に、単に男女平等と云うことではなく、生き生きとした女の民俗が記録されているのは、そんな「採取」ができるのは、決して偶然ではない。
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最終更新日
2018年01月27日 09時56分57秒
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