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カテゴリ:読書フィクション(12~)
文学日記(18)「空白のある白い町」日野啓三 日野啓三という名前は初めて知った。芥川賞作家であることはおろか、開高健と同時代のベトナム戦争を取材した元ジャーナリストだということも初めて知った。 文学は人間を描き、世界を描くものだと私は思っている。だから戦争を描くことも多い。人間だけが戦争をするからである。なぜ、人間だけがするのか?日野啓三はその問いに答えようとしているのだろうか。いや、それよりももっと先のそういう人間とは何なのか?そのことにこだわっているようだ。 ずっと昔『広場』において、特派員としてホーチミンの街中で公開処刑を見てしまったものとして、どうしようもない「からっぽ」の中に、「どんな物や人よりも濃密な何か」を見てしまう。という自分を描いている。 人間だけがそういう「空白」を意識してしまうのだ。そんな自分を描く小説群を、私は初めて知ったかもしれない。 2018年5月23日読了 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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日野啓三氏は短編も長編も好みの作家です。都会的なものを描きながら、人間を深く見つめています。
(2018年05月23日 21時05分44秒)
嫌好法師さんへ
福永武彦といい、純文学にお詳しいですね。私はずっとエンタメ系を読んで来たので、この文学全集がなければ一生読まない作家でした。その意味ではたいへんありがたいと思っています。 (2018年05月24日 15時21分21秒) |
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