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2018年12月30日
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「日本の同時代小説」斎藤美奈子 岩波新書

新書編集者は「みんなの〈同時代文学史〉」と帯文句に書いているが、著者の主張としても、客観的にもそうではないということは明らかであり、編集者の勇み足というべきだろう。

「文学史」と銘打ったならば、日本思想史に近づいてしまうのは、加藤周一「日本文学史序説」を読むまでもなく運命であり、だからこそ、世の研究者は同時代文学史を書くのを避けて来た。しかし、70ー90年代がもはや歴史として語られ出した今、こういう本が出るのは、時間の問題だったと思うし、その第一弾としては誠実なものだったと思う。

西欧小説とは独自路線を貫いて来た「私小説」の伝統が、60年代から否定されて、変形し、綿々と続いていること。プロレタリア文学が、否定されつつも、推理小説やお仕事小説の中で、見事に復活していること。左翼の否定から始まり、会社人間を否定し、男の論理を否定し、凡そその時代を代表する多くの権威を否定しながら世代交代してゆく小説家の姿は、そのまま戦後史の世相史と重なり、多くの示唆をもらった。一方、その表面の変化の底で蠢いている地殻の変動や全体を俯瞰する視点は、ここでは書かれない。そこまでは新書では扱えないし、そもそも文学史ではない以上無理があるだろう。

びっくりしたのは、思った以上に私は60ー80年代の小説を読んでいた。あの頃は有名文庫を追うだけは追っていた。それでまだ基本的な流れは把握出来ていたのだ。でもそのあとは無数の支流に分かれる。著者は、「女性作家の台頭」「戦争と格差社会」「ディストピア」とひとくくりにしているが、果たしてそのくくり方が正しいのか、私には評価出来ない。細かい処では、いろいろ示唆を貰った良書である。

2018年12月読了





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最終更新日  2018年12月30日 10時19分02秒
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