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2019年09月27日
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「芸術新潮7月号」大特集 萩尾望都

かつて80年代初めに漫画専門誌「ぱふ」なるものがあった。私をそれを読んで初めて、萩尾望都がいかに漫画の革新を行ったかを知った。それ以降、本人ならびに他者による本は何冊も刊行されたが、一度も満足を覚えたことがない。だから舐めていた。特集を組んでいると言っても例によって、著者描き下ろしの絵で誤魔化しているのではないか。

甘く見ていた。実に約40年ぶりの本格的な萩尾望都解体である。本格的な論文は、小野不由美のそれだけではあるが、萩尾望都の一面を丁寧に書いただけに過ぎない。驚くべきは、おそらくインタビュアーの内山博子や編集者の努力と思うが、出てきた昔の作品の一コマ一コマのキャンプションがあまりにもよく調べ、マトを得ていることである。例えば、p17の「エドガーのふわふわふわ巻き毛は、どの向きから見ても同じ顔にするために考えた髪型だそう」、p18「トーマの心臓の最終頁の原稿。ユーリ、エーリク、オスカーそれぞれの新たな門出を象徴する忘れがたいラストシーン。光、風、植物といった萩尾お気に入りのモチーフによる見事な構成だ」p37には、連載開始前のクロッキー帳が公開されていて、そこに既に「火の塔の‥‥アランの死」と書かれている。「この時点で、物語のはるか先の終着点まで見えていたということか」衝撃の事実を公開している。私にとってもショックだ。アランの登場を最初から予定していて、しかも終わり方まで構想に入れていたとは!萩尾望都が、しっかりしたコマ割りを壊して、時空を超えた夢の表現を、その描写方法から、ストーリー構成まで牽引したことは40年前から既に橋本治が指摘していたのだが、我々の想像以上にそれはかっことしたものだった。だとすれば、やはり今回の「ポーの一族」再開は、かなりある程度時空を行ったり来たりはするが、きちんと構成されたものであるということだろう。

同時にクロッキーブックに対する萩尾望都インタビュー、或いは他のロングインタビューもあるが、これもかなり貴重な証言が幾つかある。

美術雑誌らしく、物語のテーマよりも、作画構成に寄った切り取りをしている。それはそれで、私にはとても新鮮だった。以降、萩尾望都を論じる時には、必携すべき本になっていると思う。






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最終更新日  2019年09月27日 11時24分52秒
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