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2020年05月12日
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テーマ:本日の1冊(3684)

「日報隠微 自衛隊が最も「戦場」に近づいた日」布施祐仁 三浦英之 集英社文庫

ジャーナリストの矜恃ここにあり!
大まかな推移は、「はじめに」で三浦英之さんが3pでまとめている。
それを更にまとめると、

2012年南スーダンに自衛隊が平和維持活動(PKO)で派遣される
2016年7月、大統領派と副大統領派の、首都ジュバでの大規模な戦闘が発生する。
当時、日本政府は「政府軍と反政府軍との間に散発的な発砲事案が生じている」と発表。
憲法9条は、海外での武力行使を厳しく禁じている。よってPKO派遣の原則は「現地で戦闘が起きていないこと」であった。政府は奇策を打った。南スーダンの事実を加工して「戦闘」を「衝突」と言い換えた。

「戦闘」か「衝突」か、国会やマスコミが不毛な議論を繰り返している時に、朝日記者の三浦さんは南スーダンに飛び込む。

一方、日本ではフリージャーナリストの布施さんが、情報公開制度を駆使して、政府の内部資料によって政府の嘘を次々と暴いていった。

そして、やがて追い詰められて、翌年7月現職の防衛大臣稲田朋美、事務次官、陸上幕僚長という国防トップ3の辞任に発展し、PKOは5月に撤収した。

2人のジャーナリストの共闘は、SNSという新しい時代のツールによって成し遂げられた。

事実とは何か。権力とは何か。(13-15p)

この書で、石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞受賞。

これら簡単な経緯は、連日報道されていたので多くの方が今だに覚えていることだろう。本書を読む意義は、それを再確認することではない。

真実は細部に宿る。

「結論ありき」の為に、防衛省全体で事実を隠微した経緯。自衛隊への「駆けつけ警護任務付与の実績つくり」のために、国会で言葉遊びをすればやり抜けると思っていた稲田防衛大臣以下官僚、もしかしたら官邸も。南スーダンの現実に「臭いものに蓋をする」仕組み。国内では通用しても、自衛隊をあのまま南スーダンにおけば決定的な戦闘が起きて、隊員の命を脅かしていた。PKO現場では通用しない「平和ボケ」した対応。公文書に対する態度。不都合な真実を隠微する体質。‥‥は布施さんが詳細に描いた。

その間をぬって、三浦さんの、下手をすれば兵士に連行されるような取材や、悲惨な耳を覆いたくなるような戦争被害者の声が綴られる。そして現場の写真を見る。百聞は一見にしかず。

「戦争の最初の犠牲者は真実である」(アイスキュロス)

これらの細部を読み終わった私に去来するのは、これは3年前の出来事じゃない。今現在、官邸で起きていることだ。ということだ。しかも、この「失敗」を正しく学んで、この伏魔殿は、さらに分かりにくく強力な「隠微」を完成させたようだ。新型コロナの相談目安が厳しくて何人も人が亡くなっているのに、それは「誤解だった」と言って責任逃れをする大臣も出てきた。もはや、滅多なことでは新しい議事録などは出てこない。(←書評なので、日々変化する時事問題を評するのは反則かもしれないが、本書から連想される事柄を言わないのは又違う気もしている。それに、ここで書いたことは一年後に読んでも当てはまることだと確信している)

私たちは、私たちのアンテナを鍛えなくてはならない。







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最終更新日  2020年05月12日 14時47分03秒
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