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再出発日記

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2021年03月13日
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「コロナ時代の僕ら」パオロ・ジョルダーノ 飯田亮介訳 早川書房

ジョルダーノがこの世界的に有名なエッセイを書き始めたのは、中国の感染者が8万人を超え、イタリアは未だ感染者数百人の段階だった。2020年2月29日のことである。しかし、科学者であり文学者でもあるジョルダーノの危機意識は高く、その透徹した眼は、その後のイタリアや世界の混乱を予測していた。

本書は予約してやっと8ヶ月目に手に取った。お陰で、私はジョルダーノの目線から一挙に1年後、2021年3月にワープした。俯瞰して彼の言説を読むことができる。

予言の的中やコロナウィルスの分かりやすい説明部分は省略する。私は未来の話をしたい。

ジョルダーノは、我々には「誰ひとりとして逃れることの許されない責任」があると言う。どんな仙人生活を送っていようとも逃れることができないだろう、という。
それは分かっていたけど、非常に重い認識だ。でも、コロナが去れば、新しい可能性も広がる。ふと思い出したのは、深夜のテレビ番組で見た、1人のツテを5人辿れば世界のどんな有名な人とも繋がれるという企画だ。そうか、コロナはこれも証明して見せたのか!5人いれば、イタリアのウィルスは僕の手元のマグカップまでやってくることは可能だ。
‥‥「誰もひとつの島ではない」

私の書評は、時に著者自身の眼に届く事がある。年に2回以上は起きるようになった。こんなこと、10年前にはなかった事だし、20年前にAmazonが日本でレビュー掲載を始めたころには思いつきもしなかった事だった。

私たちは繋がれる。いい事だけじゃない。コロナは最悪の事態だし、新しいファシズムの条件でもあるだろう。でも、私たちは繋がれるんだ。

例えば、ジョルダーノは言う。
専門家は口々に別なことを言った。(略)今回の流行で僕たちは科学に失望した。確かな答えが欲しかったのに。(略)(でも)実は科学とは昔からそういうものだった。
←確かにそうだった!科学は万能じゃない。いつも正しいわけじゃない。でもそうやって繋がって口々に言い合って少しずつできる事が増えてきたんだ。

例えば、ジョルダーノは言う。
フランスのマクロン大統領が「戦争」という言葉を使ったらしい。他のジャーナリスト、コメンテーター、医師までも使い出したらしい。私の国でも、遂には隣のおばあちゃんが「戦時のようなものだ」と言ったのを覚えている。ジョルダーノは、それは「恣意的な言葉遊びを利用した詐欺だ」と断罪した。彼の言葉は瞬く間に広がり、その後鳴りを潜めた。あのトランプさえ選挙戦で使わなかったと思う。言葉の力は、繋がる力であり、恐ろしい。そして、素晴らしい。

例えば、ジョルダーノは言う。
「僕たちは今、地球規模の病気にかかっている最中であり、パンデミックが僕らの文明をレントゲンにかけているところだ。数々の真実が浮かび上がりつつあるが、そのいずれも流行の終焉とともに消えてなくなることだろう。もしも、僕らが今すぐそれを記憶に留めぬ限りは」(108p)
そうだった。地球の凡ゆるところが病室だ。僕らは、小さな看護師になって、ベッドのそばでひとつひとつメモしておかねばならない。次のカンファレンスに活かしてもらうために。

例えば、ジョルダーノは言う。
「僕は忘れたくはない。政治家のおしゃべりが突如、静まり返った時のことを。」「僕は忘れたくはない。パンデミックがやってきた時、僕らの大半は技術的に準備不足で、科学に疎かったことを」

僕は忘れたくはない。
半年休会していたサークルの例会が、オンラインで繋がった時のことを。
僕は忘れたくはない。
いつも遠くて欠席していた会議が、オンラインで繋がった時のことを。
僕は忘れたくはない。
100メートル先に感染者が出現した時に、みんな不安な顔をしながら、やるべき事をしていたことを。

2021年3月10日読了





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最終更新日  2021年03月13日 14時32分35秒
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