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2022年01月20日
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テーマ:本日の1冊(3684)
「文豪ナビ 藤沢周平」新潮文庫・編

時代劇作家は、文豪ナビシリーズには「司馬遼太郎」「池波正太郎」「山本周五郎」と、この「藤沢周平」ぐらいしか編まれていない。とりわけ、藤沢周平は他でも、文庫本の読本になる率が高いと思う。それほど、語っても語っても語り尽くせない世界があるのである。

正月、本屋の店頭に文庫オリジナル本を見つけたので、無条件で買った。もはや藤沢周平で未読の作品は数冊しかない。なんらかの発見があるだろうと期待しての買い物である。

半分以上は作品紹介である。
「市井の哀歓」「海坂藩」「武士の矜持」「捕物帖」「義に生きる」と5つに分けて短くまとめている。他には作品から抽出した名言集。ちょっと藤沢周平読み始めました、という人のための入門編である。
もう何度転載されたかわからない、井上ひさし筆の「海坂藩・蝉しぐれ地図」も出てきた。ここまで何度も出てくるのならば、この地図を改変して、藤沢周平全ての海坂藩作品地図を完成させてほしい。権利の問題もあるかもしれないけど、もうそろそろ出来るでしょ。

評伝の名手・後藤正治の「評伝」が載っていたが、正直枚数も読み込みも不足していた。ただし、藤沢周平没後に発見された「未刊行初期短編」の作品評から筆を起こしているのは、今までの読本にない視点だった。「木地師宗吉」を作品の完成度のみで評価しているが、私はもっと別の視点も書いて欲しかった。

珍しいのは、批評家や作家の藤沢周平論ではなく、俳優からのコメントが何人分も載っていること。特に「たそがれ清兵衛」で壮絶な死闘を演じた田中泯のそれは面白かった。真田広之も田中泯も、お互い殺すつもりで撃っているので、2人とも毎日「怖かった」そうだ。1週間かけた、あの死闘だったらしい。次の「隠し剣鬼の爪」でも永瀬正敏の身体に防御用クッションをしっかり巻いて師匠役の田中泯は遠慮なく胴を撃つ。永瀬正敏はうずくまりなかなか起き上がれなくなったらしい。こんな映画は少なくなった。

最も面白かったのは、藤沢周平の愛娘・遠藤展子さんのコラム「父にとっての家族」。数年前に発掘された「藤沢周平 遺された手帳」を全面展開して、「あの時の父親の気持ち」を初めて推察している。また、「獄医立花登手控え」シリーズのおちえは、明確に高校生の展子さんがモデルだったらしい。道理で、最初の頃のおきゃんな様子がリアルだった。かなり取材したらしい。娘に、ともだちの様子をしつこく聞いていて、「お父さん、娘のことをよく聞いてくれる」と思っていたら、不良仲間の友達が、そっくりの描写で出てきた、という。叔母さんの松江は、二番目の奥さんのエピソード(母に何か言われて黙って二階に消えるところなど)が使われている。「普通が1番」という口癖の藤沢周平の良好な家族の姿が浮かび上がる。

藤沢周平の既に移転した後の住居跡を探して、冬の大泉学園町を歩いたこともある。もはや、何もかもが懐かしい。





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最終更新日  2022年01月20日 16時28分44秒
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