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カテゴリ:演劇「ナショナルシアターライブ」でお昼寝
ナショナル・シアター・ライブ(National Theatre Live)
ジェイミー・ロイド演出「かもめ」シネ・リーブル神戸 2023年2月のナショナルシアター・ライヴは「かもめ」でした。いわずと知れたチェーホフの4大悲劇の一つ、あの「かもめ」のリメイク(?)、現代風アレンジ(?)でした。 ナショナルシアター・ライブを観つづけていると、いろいろ新しい演出に出会います。この舞台では、登場人物たちの配置と、前半部での舞台の作り方が新しい工夫だと思いました。 登場人物は、確か、全部で10人、見かけ上ですが、男性が6人で女性が4人でしたが、ライトが点いて芝居が始まると舞台奥の壁際に、10人の登場人物が、それぞれ、等間隔にパイプ椅子に座って並んでいらっしゃいます。そこから、パイプ椅子を自分で持って前に出てきて、置きなおし、そこで二人とか三人とかの会話、ないしは一人でのセリフが始まります。ひたすら、セリフによって、セリフを語っている人の場がつくられ、場面の転換は語り手が椅子を持って下がり、別の椅子の人物が別の場の会話を始めます。要するに、徹底したセリフ劇というわけです。 もう一つの、舞台の作り方が新しいというのは、役者がいる舞台が客席以外がすべて壁とりかこまれていて、あたかも大きな箱なのでした。マア、世界は閉ざされているということなのでしょうかね。 そういえば、原作の「かもめ」も、どこかの田舎の村のお屋敷という閉鎖空間だったなというようなことを思い出しながら観ていましたが、前半部の最後に、大半の人物が客席にはけていくのを観ていて、なんだか騙されたような気がしました。で、後半には、舞台奥の壁が取り払われていて、観ている人で考えていただきたということだったのかもしれませんが、ぼくには、ますます訳の分からない演出というふうに見えてしまいました(笑)。 出だしの、登場人物たちが入り乱れての会話シーンは面白かったですね。一人一人の人物の個性が、それぞれのセリフ回しで主張されているイメージで、「おお、これはどうなるのだろう?」と期待しました。 ところが、チェーホフの原作のストーリーをなぞりはじめた頃から失速してしまいました。外の世界にあこがれる美しい娘ニーナ、彼女を誘惑する作家ボリス、ニーナに恋する劇作家コンスタンの三人が、まあ、この戯曲の主役という演出だったと思いますが、なんだか薄っぺらいのでした。 「私はかもめ」 この戯曲の原作をを読んだ人が必ず思い浮かべる名セリフだと思いますが、なんだか、浮いていましたね。 ヤー・チャイカだったっけ?と、まあ、見当違いの感慨に浸っていると幕が下りました。 現代的解釈という宣伝文句がチラシにあったような気がしますが、形式的な工夫のために理が勝ちすぎて、チェーホフの深い哀感を見失ったお芝居だったと思いました。ちょっと、残念な舞台でした(笑) 演出 ジェイミー・ロイド 原作 アントン・チェーホフ 脚本 アーニャ・ライス キャスト エミリア・クラーク(ニーナ) トム・リース・ハリーズ(コンスタンチン) ダニエル・モンクス ソフィー・ウー インディラ・バルマ(イリーナ) 2022年・146分・G・イギリス・ハロルド・ピンター劇場 原題 National Theatre Live「The Seagull」 2023・02・20-no023・シネ・リーブル神戸 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.02.22 01:18:17
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