|
テーマ:映画館で観た映画(8439)
カテゴリ:アジア映画(05・06)
![]() 日本編監督 : 降旗康男 出演 : 高倉健 リー・ジャーミン ジャン・ウェン チュー・リン ヤン・ジェンボー いい作品だった。思いのあふれる作品だった。 私はこの映画に出てくる、『真心』を全て信じることが出来る。 日本人の『真心』も中国人の『真心』も。 ごめんなさい。少し映画を離れて思い出話をします。2001年9月上海の周りを一人ぶらぶら旅をしました。一日かけて郊外の水郷の村の周荘というところへ行きました。 ![]() ミニバスなどに乗り継ぎながら、周荘のバスセンターに着くと周荘入り口までの約2キロ。ひつこい勧誘にあって自転車馬車に乗ってみる。(片道2キロ6元90円)。観光地周荘の中に入ると、またひつこい勧誘にあって、日本語がぜんぜんできないガイド(案内して写真を撮ってくれるという役割)を雇いました。(50元750円)マイペースで案内してくれるのには閉口したけど、人のよさだけは良く分りました。お互い言葉は全然出来ないけど、何とか通じるものです。彼のおかげで、言葉が出来ない私はたぶん乗れなかった観光船に相乗りで乗ることが出来ました(上の写真)。1日千円ちょっとしかならない労働で、彼は家族を養っているんだろうなと思いました。下の写真は昼食中の彼のスナップです。一緒にご飯を食べるとなんかお互いの生活まで分かるような気がするから不思議です。彼と比べると映画の現地通訳はなかなかインテリな男ですわ。 ![]() 観光客相手の彼らを全て信用することは出来ません。上海の街中で、詐欺まがいに巧妙に200元(3000円)の素人絵を買わされたという経験もしました。一方こんな経験もしました。周荘からの帰り道、バスは上海の街中をいつの間にか過ぎてバスセンターに帰ってしまったのです。ここは一体どこだろうか、と職員の詰め所みたいなところに寄って筆談で一生懸命近くの駅の場所を教えてもらいました。すると親切にも一人の職員が駅まで送ってくれることになりました。駅の近くまでいくと職員の友達にあって、どうやら友達に後を託した模様です。その友達は何と乗り換え駅までの切符を買ってくれてどうしても切符代の二元を受け取ってくれないのです。そしてメモを書いてくれたり、言葉で何度も乗り換えの方法を教えてくれました。ホントに私は何度も何度もお礼を言って彼と別れました。 映画の中で、通訳の人がさりげなく謝礼を返しにくる場面があります。また、一人の客人を歓待するためにひと村あげての宴会をする場面があります。刑務所ではきちんと用意して「単騎、千里を走る。」の仮面劇をする場面があります。真心が人を動かす。真心が人に応える。高倉健ならそれが自然と絵になる。けれどもそれは決して特殊なことではない。 政治の問題を置いても、歴史認識の違いで、日中間にはまだ越えなければならない河はあると思う。でもそれは必ず越えることの出来る河である。そのことを改めて思った映画でした。 追記あとで読み返すと、これでは『意』は通じないかもしれないと思いました。私は健さんではないので、行間を読んでもらうという離れ業をしてはいけませんよね(^^;)この映画のようなコミュニケーションは、単なる観光で実感しようとすると難しいものがあると思います。特に中国人は金が絡むといやらしくなるように感じます。けれどもいったん、金からは離れると、健さんのような真のまごころに接したり、本当に困っている人に接すると、中国人は見返りを求めない行動をするのではないでしょうか。『中国人は……』という風に一般化してしまう危険性は承知しながらも、私は自分の経験で直感的にそう思っています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[アジア映画(05・06)] カテゴリの最新記事
年取っても、男の中の男です、健さんは。カッコいい。ところで、中国とはいつになったら仲よくできるのだろう?国民性は全然違うと思っていたけど、この映画のように通じ合える可能性もあるんだろうな。中国共産党には本と頭に来るけど。
(2006年01月30日 16時37分44秒)
こんにちは♪
ご自身の中国でのエピソードを興味深く読ませていただきました。 真心が人を動かすんですよね。 末端のの人と人はなんとか分かり合えても、国同士だと難しいことがいっぱいありそうで、もどかしい思いです。 (2006年01月30日 22時14分15秒)
こんにちは。
トラックバックありがとうございました。 興味深く読ませていただきました。もちろんおっしゃる通り、すべてを委ねるまでにはいろいろとあると思いますが、でもその壁を越えた時、何かがあるのですね。たぶん撮影現場ではリアルにそうした事があったのでしょう。映像からにじみ出ていました(^^ゞ (2006年01月30日 22時30分53秒)
>政治の問題を置いても、歴史認識の違いで、日中間にはまだ越えなければならない河はあると思う。でもそれは必ず越えることの出来る河である。そのことを改めて思った映画でした。
★素晴らしいレビューですね! 真心のお返しは真心で、、、 だんだん通じ合うこころが美しい映画でしたよね! (2006年01月30日 23時10分32秒)
TB有難うございます。
旅先で騙されたり、嫌な事があると、その国民性を疑ってしまいますよね。色々な人がいるので、それを考えないといけないのですが、やはり人間ですから腹も立ちますしね。 この映画のように、真心で結びついて行きたいですね。 (2006年01月31日 00時17分11秒)
NOBUさん
ミチさん でんでんさん UEKO・f★さん yamasanさん TB&コメントありがとうございました。 記事の大部分を自分の思い出話に使って 恥ずかしい限りです。 この映画は期待していたので、 事前に特集番組も見たし、 健さんの『旅の途中』というエッセイも読んで 『感動する準備は出来すぎていた』状態だったので、 実際不安はあったし、 鑑賞直後は幾つか技術的な不満点を 考えていたのですが、 あとからじわじわと効いて来る感動があって、 やはりいい作品であると自信を持っていえます。 むしろみんなの感想が、 細かいところにこだわらず、 ストレートに感動しているのに、感動しました。 希望がある、そう思いました。 (2006年01月31日 01時24分31秒)
初めて書き込みをさせていただきます。
私が印象に残っているシーンは、 ・高倉健さんが何度もガイドに食い下がるシーン ・役人にビデオを見せているシーン ・雲南省の雄大な自然 です。 この映画は日本人が忘れ去ったものを思い出させてくれるような映画と感じました。 そういえば周荘の入場料って、中国にしては高かった気がします。たしか1000円くらい・・・? でもあの街並みは古い中国映画ででてくる風景ですね。 (2006年02月01日 00時12分28秒)
JTブラジャーズさん
コメントありがとうございます。 >私が印象に残っているシーンは、 >・高倉健さんが何度もガイドに食い下がるシーン >・役人にビデオを見せているシーン >・雲南省の雄大な自然 >です。 あのビデオはちっょと日本人では思いつかない秀逸なシーンでした。ビデオであそこまで思いを見せるのは健さんならではですね。 >そういえば周荘の入場料って、中国にしては高かった気がします。たしか1000円くらい・・・? >でもあの街並みは古い中国映画ででてくる風景ですね。 ----- 周荘の入場料金は忘れましたが、1000円もしたとすると、ガイド利用金750円はお得だったのか。?!あの水郷は1200年前から存在しているという説明でした。平安時代には既にあったという建物があって、びっくりしたのを覚えています。 なぜか同じコメントが3つも来ていたので、消させてもらいました。 (2006年02月01日 03時12分53秒)
マダムクニコさん
コメントありがとうございます。 私の旅はいつも国内の旅でもいろんな人に道を聞いたり、助けてもらってばかりです。町の中でもいい思い出のほうが多いです。でも、油断してはいけないというのも事実なんで、不安になって書いてみました。 それにしても素晴らしいレビューですね。 (2006年02月04日 10時51分59秒)
日本は島国。基本的な考え方は違うし、広くて人も多いからさまざまな人がいるんでしょうね。
基本的には親切な人が多いのかも(かった?) 映画についてはTBはりました。 (2006年02月06日 00時44分32秒)
こんにちは。
今回の映画は、何度も雲南へ行っている私は期待していました。全体的には、気に入りましたが、細部が気になるところがありました。やはり、現地を知っている(と、思い込んでいる)からでしょう。 >むしろみんなの感想が、細かいところにこだわらず、ストレートに感動しているのに、感動しました。 同感です。映画を観るには、よけいな先入観はないほうがいいのかも、などとも思ってみたり。 (2006年02月06日 17時31分22秒)
あおやぎさん
コメントありがとうございます。 あおやぎさんの記事の中のトラクターの写真はなんとなく懐かしい感じがしました。私も周荘に行く途中はミニバスになったのですが、ぎゅうぎゅう詰めの小さなバスで若いカップルが幸せそうにしている姿を映画を観ながら思い出していました。またお出でください。 (2006年02月07日 00時44分53秒)
ごんちっちさん
コメントありがとうございます。 >日本は島国。基本的な考え方は違うし、広くて人も多いからさまざまな人がいるんでしょうね。 >基本的には親切な人が多いのかも(かった?) >映画についてはTBはりました。 -----この映画を観て、またむくむくと外国への貧乏旅への意欲がわいてきているのですが、いかんせん、遊んでばかりもいられないし……。 (2006年02月07日 00時48分36秒)
いつぞやはTB、コメントありがとうございました。
やっと見に行ったので、ようやくこちらの記事を興味深く読ませていただきました。 いろいろ感動的なシーンがありました。 国対国、特に顔の見えない相手同士だと、利害関係が衝突しますが 顔が見える同士、真心を伝えようとすると、通じるあえるということが(健さんだから?いや、健さんだけでなく)信じられる映画でした。 見終わった後もじわじわと心が温かくなってます。 (2006年02月10日 16時25分27秒)
calligraphy_mさん
>いつぞやはTB、コメントありがとうございました。 >やっと見に行ったので、ようやくこちらの記事を興味深く読ませていただきました。 >いろいろ感動的なシーンがありました。 >国対国、特に顔の見えない相手同士だと、利害関係が衝突しますが >顔が見える同士、真心を伝えようとすると、通じるあえるということが(健さんだから?いや、健さんだけでなく)信じられる映画でした。 >見終わった後もじわじわと心が温かくなってます。 ----- ようこそいらっしゃいました。コメントありがとうございます。映画の題字を書いている方に見ていただけるなんて恐縮です。 顔の見える関係。大切ですよね。そのためにはまず「言葉だ」と思って、今一生懸命です。 出来たらTBください。 (2006年02月10日 22時10分59秒)
いい映画でしたね。健さんの魅力がいいです。内容もすばらしくこの作品は是非たくさんの人に見てほしいと思います。後ほどTBさせていただきますので、よろしかったら、私のブログにも遊びにいらしてください。よろしくお願いいたします。
(2006年02月12日 20時49分48秒)
単騎千里を走る見ました。病人役で顔を出さなかった中井貴一、その方が良かったです。雲南の村長始め地元の人達いい味出してました。なんといっても、翻訳のできない通訳のチューリンいい味出してました。「息子の告発」以来のいい映画でした。
(2006年02月26日 22時13分32秒)
matudaさん
コメントありがとうございます。 チャン・イーモウは、どうしてああも素人を使うのが上手いのでしょうか。監督自身が本当の庶民の気持ちがわかる人なのでしょうね。それだけではないでしょうが。 (2006年02月27日 04時10分50秒)
十分感謝
(2006年06月15日 11時39分28秒)
|
|