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カテゴリ:社会時評
かばんの中からぐちゃぐちゃになった切抜きが出てきました。多分半年前くらいの朝日新聞「悩みのるつぼ」という企画の切抜きです。今もう一度読んでみて、非常に普遍的な悩みだと思い、そのまま書き写してみます。相談者は34歳の契約社員。女性です。「結婚にもなんとなく無気力で…」という悩みです。
出版社の契約社員をしている34歳女性です。結婚のことで悩んでいます。 仕事は半年ごとの契約です。出版不況の中、いつクビを切られるか分かりません。独身のままの老後を想像すると、ゾッとします。その前に他県で暮らす両親の介護が必要になるかもしれません。 安定した人生を送るには、収入のある男性と結婚するのが近道なのでしょう。30歳までは「早く結婚を」という親の圧力もあり、焦っていました。30歳を過ぎても結婚しない女性には、きっと何か問題があるに違いないとえ思っていました。 でも、これまで付き合った男性4人とは結婚に踏み切れませんでした。「この人でなくちゃ」という確信がもてないと結婚はだめだと思うのですが、誰ともそこまで気持ちが高まらなかったのです。だんだん結婚への意欲も薄れてしまい、4人目の彼氏とは自然消滅でした。 子供を産みたいことや、自分の容姿などを客観的に考えると、タイムリミットが近づいていると頭では分かっています。でも、周囲には同世代で独身の女性も多く、かつてのような切迫感はありません。 最近はこんな自分の無気力状態にこそ漠然とした不安を覚えるのです。独身のまま不安定な仕事を続け、先の読めない未来を乗り切ることが出来るのでしょうか。 うーむ。どうでしょうか、皆さん。 どのようにアドバイスすればいいのでしょうか。 じつは、回答者は専門的なアドバイザーでもなければ、文学者でもなく、経済学者の金子勝氏でした。朝日はみごとな人選をしていると思いました。回答を長々と書いていましたが、はしょって紹介。 彼女はみごとにロスジェネの走りなのです。 就職氷河期で正社員になれず、 セーフティネットのない社会を生きている典型です。 契約労働だとすぐに首を切られ保証がない。 医療も介護も崩壊状態なので家族の支えが泣ければ無理。 ところが、自分が老後は独身かも知れず、親の面倒の心配もしなければならない。 逃げ道は結婚しかないのでしょうか。でもそれも今のままで不利です。 将来の安定を確保できるだけの結婚や正社員の道はあまりに「競争」が激しい。 金子さんは言います。 「個人的な解決はほとんど困難です。残されている道は、自らが多数派であることを自覚して、社会的な不公平に対して同じ世代で主張を共有するしかありません。」それもめんどくさいならば、あなたが今抱えている「不安」は的中するでしょう。 もうこれは、身の上相談の回答ではありません。たぶん彼女にとっては回答拒否に映ったに違いありません。 でも、私もこれ(個人的な解決はほとんど困難)が現実だと思います。 もちろん、彼女が好転する可能性はゼロではありません。むしろ、そうは言ってもキチンと自覚してがんばれば、数少ないチャンスをものにして正社員の道も…いやこれは難しいとしても、理想的な彼氏が現れる可能性はゼロではありません。でも、彼女のように「理想の彼氏」を待っていてすぐに40歳を越えた人も数多くいるのも事実。 やっぱり、回りくどくめんどくさいかもしれないけれど、少しでも住みやすい社会に向けて頑張ってみるのをお勧めします。 案外そこから見えてくる未来があるような気がします。 (以上自分のことを棚にあげています。いつも私はそうです。すみません) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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彼女が契約社員から正社員になれる可能性は限りなくゼロに近いでしょうね。
結婚が生活の安定のためなら、それを実現できそうな男もまたゼロに近いということです。 結局、経済的な安定が背後に無ければ、恋愛さえできないということでしょうか。 そんな結婚さえ出来ない社会に埋没するのであれば、親の年金目当てに生活するということになりかねません。 やはり、こんな社会に誰がしたと声を上げるしかないようです。 (2009年11月29日 16時51分55秒)
自分の選んだ道ですから、自分で責任を取るしかありません。生活は収入に合わせて生きる。一生懸命生きていれば、そのうち良いことがあります。この世の中、決して捨てたものではないと信じたいです。彼女の周りには、彼女のことを心配して配慮してくれる人がきっといると。。。
(2009年11月29日 18時32分57秒)
結婚を老後生活の安定の手段とか何かの逃げ道と考えているならやめた方が良いです。
結婚にはそれによるプラスもマイナスも受け入れる決意が必要ですから。 住みやすい社会をつくるために頑張る、ということは結婚云々とは別の課題として大切ですが。 (2009年11月29日 22時13分06秒)
棚にあげないようにしましょうね。異性といるということはいいものですよ。私の場合は人生そのものだったりしますけどね。でも、相手も人格があり、なかなか思うように行かないのが人生なのでしょうか?
(2009年11月30日 16時55分00秒)
hiryu4398さん
>彼女が契約社員から正社員になれる可能性は限りなくゼロに近いでしょうね。 >結婚が生活の安定のためなら、それを実現できそうな男もまたゼロに近いということです。 >結局、経済的な安定が背後に無ければ、恋愛さえできないということでしょうか。 >そんな結婚さえ出来ない社会に埋没するのであれば、親の年金目当てに生活するということになりかねません。 >やはり、こんな社会に誰がしたと声を上げるしかないようです。 ----- この人ではないのですが、最近お話した人は、借金で勘当されて流れてきた、「もう帰ってくるもんか」と啖呵を切って20年帰っていない、DVで帰れない、親のいじめにあっている、等々親に頼れない人が本当に多いのです。 だからこそ何とかしなくちゃいけない。 (2009年11月30日 22時35分06秒)
とらのこどもさん
>自分の選んだ道ですから、自分で責任を取るしかありません。生活は収入に合わせて生きる。一生懸命生きていれば、そのうち良いことがあります。この世の中、決して捨てたものではないと信じたいです。彼女の周りには、彼女のことを心配して配慮してくれる人がきっといると。。。 ----- そうなんですね。「自分が選んだ道」彼女もきっとそう思っているからこそ、かえって「自分の目の前にある壁」のあまりもの高さに今さらながらに気がついて、無気力になっているのではないかと私は思うのです。彼女はきっと社会のせいだとはあまり思っていないのではないでしょうか。 書くのをはしょりましたが、金子さんはこういっています。「人生はほとんど運です。(略)石油ショックの直後に生まれ、バブル崩壊と共に青春時代を送り、そして雇用が悪化した97年以降に就職期を迎えています。しかも、この世界同時不況で失業という不安も抱えている。まるまる不況と共に歩む人生です。この世代に「自己責任」という言葉は無意味です。」 もし違う時代に生まれていたならば、彼女は専業主婦かキャリアウーマンになっていてもおかしくはないのです。 だからぼくのいいたいのは、社会に楯突けということではなく、「自信を持て」といいたいのです。 (2009年11月30日 22時45分38秒)
ももたろうサブライさん
>結婚を老後生活の安定の手段とか何かの逃げ道と考えているならやめた方が良いです。 >結婚にはそれによるプラスもマイナスも受け入れる決意が必要ですから。 > >住みやすい社会をつくるために頑張る、ということは結婚云々とは別の課題として大切ですが。 ----- 結婚を逃げに考えているのかもしれませんね。それがイヤなのかもしれません。 だから男のことなんかもう考えないで、「自信を持って」やりたいことをやる、そこに出会いも付いてくるのかもしれません。 ‥‥‥てなことを彼女が読むわけではないのですが(^_^;) みなさん、アドバイスどうもありがとうございましたる (2009年11月30日 22時51分26秒)
hanaaraさん
>棚にあげないようにしましょうね。異性といるということはいいものですよ。私の場合は人生そのものだったりしますけどね。でも、相手も人格があり、なかなか思うように行かないのが人生なのでしょうか? ----- グサッ、グサッ! >相手も人格があり、なかなか思うように行かないのが人生 と、いうわけで、思うように行かない人生をここ最近も過ごしております。 そうなんですよね。自分を棚に上げていて、人に言うことじゃないですよね。自分も自信が無いままです(泪) (2009年11月30日 22時57分33秒) |
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