企画・監督・撮影 豪田トモ
ナレーション つるの剛士
両親の不仲や虐待の経験から親になることを戸惑う若い夫婦、出産予定日にわが子を失った夫婦、子供を望んだものの9年の不妊治療の後授からない人生を受け入れた女性、完治しない余命一年以内という子供を産むことを決意し育てている夫婦、「生む」ことにまつわるドキュメンタリー。
最近では珍しくナレーションの説明つき、説明的なアニメも付く、途中三曲も説明的な監督作詞の歌も付く。それが決してドキュメンタリーとして悪いわけではない。判りやすく作ろうとしたり、変化をつけるということでは、ありうる選択ではある。しかし、産むということはどういうことなのか言うことを辿った真面目なドキュメンタリーなので、衝撃的な映像があるわけではない。おそらく監督の意向に沿った人々が出てきているのだろうな、と思われるので、作る前からこのように作ろうという構成が既に出来上がった映画のように思える。
三歳児には「生まれる前や生まれたときの記憶がある」ということで冒頭何人かの児童にその「証言」をさせている。ずーと、それで一貫して主張されるのは、「子供はその親を択んで生まれてきたんだよ」というファンタジーなのである。死産をしてきたり、虐待を受けたり、生まれてこなかったり、そういう親にとって、それは大いなる癒しになるだろう。一方で理想的な出産準備も描かれるから、親の出産教育映画としてはピカイチの映画にはなっている。しかし、私には非常に意図的な映画のように思えた。
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