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カテゴリ:邦画(12~)
「ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳」
監督 長谷川三郎 この映画を見ていた10月1日のちょうどその時、世界一危険なオスプレイが世界一危険な 普天間基地に配備された。ゲート前の抗議の、何百人もの座り込みを機動隊で強制排除した上での配備。政府がついに沖縄を切り捨てた瞬間である。しかし、その具体的な状況は遂にほとんどのメデイアは報道しなかった。このドキュメンタリーの中で90歳の報道写真家福島菊次郎は「世のメデイアは5W1Hで記事を書いていれば、それで良しとする」と嫌悪感を露わにした。まるきり、何も変わっていない。YouTubeで確かにメデイアで報道されない事実も知られる様になった。しかし、10分の映像も一枚のプロの写真には叶わない部分がまだまだあるのではないか。そんなことを、私は思った。 カメラマンの学校で90歳になろうとしている福島は言う「プライバシーの尊重など守らなければならないことはある。しかし、撮る対象が法律に違反している時には、法律を犯してでも撮らなければならない」若いカメラマンたちは、果たしてどう思ったのだろうか。沖縄の例で言えば、この空間は日米安保条約に基づく米軍提供地域であったために逮捕される恐れもあった。だから座り込みをしていたのは主に白髪の年配の方たちが声を掛け合って最前線で座り込みをしていたのである。それを取材する過程でカメラマンにも累が及ばないという保証はない。しかし、それでもそれを取材するのが、そしてそれを発表するのが本来の報道写真家というものだろう。 ヒロシマ被爆者の中村さんに密着した体験に始まり、祝島、三里塚、ウーマンリヴ、安田講堂、水俣、フクシマ、常に反権力の側に自らの立場を鮮明にして入ったからこそ、新聞や週刊誌には撮れない機動隊に殴られる学生、あるいは三里塚の女性、自衛隊基基地の隠し撮り、祝島のおばちゃんたちの笑顔なども撮れたのである。「中立な立場など無い」福島は言うが、報道とは正にそうなのだ。 安田講堂占拠までの全共闘運動を全面肯定しているので、私としては全てを良しとするわけではないけれども、「昔は反権力の場にいることは私はできなかった。しかし今はそれが自由に出来る」若者を素直に応援していたのだと思う。年金ももらわず、生活保護も拒否し「最後は孤独死だろう。それは国に殺されたと思ってください」と言っているあたりかなり「カッコイイおじいちゃん」でした。 inシネマクレール 2012年10月1日 ★★★★☆ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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