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カテゴリ:読書(ノンフィクション12~)
「DAYS JAPAN 4月号」 表紙写真はクリスチャン・ムンテアス。ルーマニア・ブカレスト南部に、かつて豪華を極め、やがて取り壊された豪邸街の跡地がある。そこに住み着いた、貧しくても明るいロマ人の家族を取材している。ロマ人は、かつてジプシーと呼ばれた人々。現在、ジプシーは差別語となり、ロマ人と呼ばれる。ルーマニア人口約2000万人の一割はロマ人とされ、厳しい差別にさらされている、らしい。 そうか、ロマ人と言われていたんだ。好きで放浪していたわけではなさそうだ。2年前に「鉄くず拾いの物語」という映画を観た。そこで、ロマ族は領土というものを一度も持ったことがないが、ヨーロッパ各地にいて、推定800〜1000万人いるということを初めて聞いた。彼らの80%が貧困ライン以下の暮らしをしているらしい。寿命はヨーロッパ平均より10-15歳短く、15%が常に飢えと闘っているそうだ。この写真の家族も、映画と同じように、豪邸跡で拾った金属やゴミ置き場のプラスチック、それに池で釣った魚や、岸に生える葦を売って生活していた。 一度も国を持っていない彼らがアイデンティティを保っているのは、宗教や言葉や差別的な囲い込みその他があるだろう。それらは、もっと勉強しなければわからないことではある。ただし、一つ確信的にわかるのは、彼らから観るヨーロッパが、現在のヨーロッパを最も立体的に見せているだろう。ということだ。『カムイ伝』と同じ理屈である。最も底辺から見る姿が、最もその国の姿を現している。この家族は公園化のために、立ち退きを当局から要請されている。幸か不幸か、元の豪邸関係者が土地権利で訴えているので、それが決着しない限り家族たちを退去させることは出来ない。 この号は大きな特集はない。世界のいろんな姿が、厳選された写真と共に紹介されていた。ほんの少し世界は広がった。 2016年3月26日読了 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016年03月27日 00時37分54秒
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