6857394 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

再出発日記

再出発日記

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

フリーページ

カテゴリ

お気に入りブログ

発注した後で チル… New! ポンボさん

徘徊日記 2024年4月… New! シマクマ君さん

源氏物語の紫式部日… New! Photo USMさん

『「難治の国」ある… New! Mドングリさん

昔語り:船場の末裔 New! 天地 はるなさん

カレンダー

2016年07月15日
XML
テーマ:本日の1冊(3684)
51A1sd0FKOL.jpg
「消された一家 北九州・連続監禁殺人事件」豊田正義 新潮文庫

黒沢清監督の「クリーピー 偽りの隣人」を観て、そのもとになった事件だという噂を聞いてこの本を紐解いた。一日で読んだ、というか確認した。

クリーピー(おぞましい)という形容詞は、おそらくこういう事件のためにあるのだろう。映画を観てから一週間経てもなお頭の奥の嫌な感じがとれなくて、この本の中の「事実」を確かめることにしたのだ。鑑賞直後「映画を観た人はこんなことはあり得ないと思うだろうから、作品の賛否は分かれるだろう」と考えた私の予想は、半ば当たり半ば外れていたことがわかった。作品の賛否は確かに分かれた。しかし、私でさえあり得ないと思っていたことが、事実として行われていたのである。

例えば、映画の犯人の娘とされていた澪(藤野涼子)は、時々「あの人父親じゃありません」とはいうものの、自然に親子の振る舞いをしていたし、毎日学校にも通っていたのである。そこまでマインドコントロールができるものなのか?しかし本書では、紙数の関係かそこに突っ込んだ書き込みはなく実にさらっと、この事件の生き残りで通報者17歳の服部恭子(仮名)の小学校と中学校の「通学」のことが書かれていたのである。また、買い物は殺し殺された女たちの仕事だった。彼女たちには頻繁に犯人に電話連絡する義務はあった。しかし、警察に通報するとか、逃げるということは、一部の例外事件(それさえも巧妙に阻止された)を除いては、することはできなかったのである。

映画よりは、遥かにリアルで陰惨な現実がある。

戦争は人間を人間でなくさせる、という。閉鎖空間での洗脳、極限の苦痛、絶対的服従の対象のあること、そういう中で人は「やってしまう」のかもしれない。この事件は、そういう意味で人間の「原罪」をも照射する事件だったのかもしれない。

B級戦犯の緒方純子がA級戦犯の松永太と同じ死刑判決になったことに、著者は疑義を唱える。そのことは二審と最高裁判決の無期懲役に結びつく。その過程で、マインドコントロールのメカニズムが一部明らかになったのは、大きな成果である。しかし、あまりにも陰惨な事件だということもあって、その全貌はマスコミに流れていない。私でさえ、最初期の報道の印象から、この事件の主犯は女性の方(緒方純子)だと、本書を読むまでは思っていた。

幼児を含む7人の殺害という稀に見る犯罪性、被害者が被害者の子どもや親を殺すマインドコントロールの恐怖、極限まで非人間的な死体処理の酷さ、主犯松永のサイコパスの来歴が何処から来たのか最後までわからなかった謎、この事件は詳細を知れば知るほど、身の毛がよだつのではあるが、一方では二度とこんな事件を起こさない、そしてこんな社会にさせないためにも、知っておくべき事件だと思う。

2016年7月4日読了





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2016年07月15日 11時14分53秒
コメント(2) | コメントを書く
[読書(ノンフィクション12~)] カテゴリの最新記事


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ

利用規約に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、こちらをご確認ください。


Re:おぞましいけど、ホントのこと「消された一家 北九州・連続監禁殺人事件」(07/15)   七詩 さん
松永は一家の長女だけではなく、母、妹と次々と関係を結んだのですね。そうした性的な羞恥心と、そして最初は長女だったのですけど、犯罪に関与させたことによる「弱み」で操っていったのでしょう。オウムのマインドコントロールはさっぱりわかりませんが、羞恥心と犯罪への関与で人間を操ったやり方はわかるように思います。 (2016年07月19日 20時11分11秒)

Re[1]:おぞましいけど、ホントのこと「消された一家 北九州・連続監禁殺人事件」(07/15)   KUMA0504 さん
七詩さん
>松永は一家の長女だけではなく、母、妹と次々と関係を結んだのですね。そうした性的な羞恥心と、そして最初は長女だったのですけど、犯罪に関与させたことによる「弱み」で操っていったのでしょう。オウムのマインドコントロールはさっぱりわかりませんが、羞恥心と犯罪への関与で人間を操ったやり方はわかるように思います。
-----
確かにそういう側面もあるかもしれませんが、それだけでマインドコントロール、ましてや親や子供まで殺すコントロールはできません。

私の記事を読んでいるのでしょうか。

もちろん、松永の手法の一部しか書いていない。ほかにも、最初期の言葉巧みな信頼関係、序列を作ることによって疑心暗鬼と序列の上に行くために何でもしようという気になる、等々の技術もありました。

これらの解明は、裁判が終わったいま、ジャーナリストの手で行ってほしい(親や知人への取材)。 (2016年07月20日 20時25分05秒)

キーワードサーチ

▼キーワード検索

コメント新着

永田誠@ Re:アーカイブス加藤周一の映像 1(02/13) いまはデイリーモーションに移りました。 …
韓国好き@ Re:幽霊が見えたら教えてください 韓旅9-2 ソウル(11/14) 死体置き場にライトを当てたら声が聞こえ…
韓国好き@ Re:幽霊が見えたら教えてください 韓旅9-2 ソウル(11/14) 死体置き場にライトを当てたら声が聞こえ…
生まれる前@ Re:バージンブルース(11/04) いい風景です。 万引きで逃げ回るなんて…
aki@ Re:書評「図書館の魔女(4)」(02/26) 日本有事と急がれる改憲、大変恐縮とは存…
北村隆志@ Re:書評 加藤周一の「雑種文化」(01/18) 初めまして。加藤周一HPのリンクからお邪…
ななし@ Re:「消されたマンガ」表現の自由とは(04/30) 2012年に発表された『未病』は?
ポンボ@ Re:書評「図書館の魔女(4)」(02/26) お元気ですか? 心配致しております。 お…
むちゃばあ@ Re:そのとき 小森香子詩選集(08/11) はじめまして むちゃばあと申します 昨日…
KUMA0504@ Re[1]:書評「どっちがどっち まぎらわしい生きものたち」(02/26) はんらさんへ 今気がつきました。ごめんな…

バックナンバー

・2024年04月
・2024年03月
・2024年02月
・2024年01月
・2023年12月
・2023年11月
・2023年10月
・2023年09月

© Rakuten Group, Inc.