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2019年12月03日
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「ひとり暮しの戦後史」塩沢美代子 島田とみ子 岩波新書

ツィッターで回ってきた。この新書が隠れた名著として話題なのだという。「戦中世代の婦人たち」の副題があり、その世代は100万人近くが婚期を逃したりしていて、ずっとひとりで生きてきたらしい。若い人は知らないかもしれないが、むかしは「お局」の労働条件は酷かった。

とは言っても、1975年の刊行である。女性差別を扱っているとしても、データは古い。この本の素晴らしいのは、20数人のその世代の綿密なインタビューがあるのだ。それを読んで行く中で、私は30年前に亡くなった伯母のことを思い出した。

伯母は24才で敗戦を迎えた。青春をまるまる戦中の看護師として生き抜き、何処かに意中の人はいたかもしれないが、ここのデータにあるように時代の緊迫と男性人口の消失があり、気がついたら独身のベテラン看護師として残っていた。最終的には街で大きな病院の婦長にまでなったので、給与はここの登場人物よりはまだ良かった。それなのに、伯母の晩年には悲劇が襲った(内容については決して言えない)。趣味もあり、付き合いもある方だったのに、仕事を退いてからの彼女は孤独だったようだ。伯母の決して幸せとは言えないかもしれない生涯を具体的に考えるきっかけになった。私は今、彼女の寓居を引き継いで住んでいる。

独身中高年婦人は、この新書の時点で約50歳前後。働き盛りで、生活苦に苦しんでいるばかりではなく、かえって意気軒昂な女性も多い。しかし、そのあとが心配になった。独身になったのは、彼女達の意思とは言えない。また、給料が少ないのも、仕事がきついのも、彼女たちのせいとは言い切れない(そのあたりは説得力持ってこの本が書いている)。親の介護と自分の老後は大きな壁として立ち塞がっていた。この時代「恍惚の人」がやっと話題に登った頃だ。そこから、今の女性問題はどこまで前進し、変われたのか?

また、現代のロスジェネ世代(超氷河期世代)は独身者が多い。第三のベビーブームが起きないのは、つまり少子化が起きているのは、この世代があまり結婚できなかったからだと言われる。400万人とも言われるこの世代は、ずっと非正規で働いている方も多く、時代のせいでこうなっている。つまり戦中世代の婦人たちの問題は現代の問題とも被るのである。いろんなことを考える新書だった。

内容を推察するために目次を以下に載せる。(機種依存文字があるために、一部の数字を変えた)

はじめに
A 統計は語る
B ひとり暮しの戦後史
1 病院の調理士として
2 ちいさな美容室を経営して
3 雇われの洋裁師
4 家政婦からマッサージ師を志願
5 誇り高き独身
6 働き盛りに定年
7 退職を強要されながら
8 勤続28年,下っぱのいかり
9 “生きがいってなんだろう”
10 給料明細を見ないで捨てる
11 戦争疎開のまま住みついて
12 労働運動のオルグとして
13 保育に生きる
C 現実のなかで
1 差別の体系の下で
2 ひとり暮しの哀歓
3 結婚について
4 老後をどう生きる
D 若い世代へ
あとがき





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最終更新日  2019年12月04日 10時10分04秒
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Re:伯母の「ひとり暮しの戦後史」(12/03)   七詩 さん
ずっと昔に読んだことがあります。オールドミスだの売れ残りだのといった、独身女性を揶揄する言葉が市民権を得ていた時代、職業教育もうけることができずに、兄夫婦、あるいは弟夫婦の下で肩身のせまい思いをして生きていた人も相当いたのではないかと思います。定職を得る困難さなど、かつての女性の問題が今では男女問わず拡散してきたような気がします。 (2019年12月03日 20時37分15秒)

Re[1]:伯母の「ひとり暮しの戦後史」(12/03)   KUMA0504 さん
七詩さんへ
おっしゃる通りです。ロスジェネ世代は男女問わずであります。同時に、それは直ぐに世代の問題ではなくなる。他人事だと思ってはいけない。

200万人の婦人と書いてしまいました。それは戦死者の数でした。100万人です。訂正しました。 (2019年12月04日 10時15分30秒)

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