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テーマ:映画館で観た映画(8350)
カテゴリ:洋画(12~)
今月の映画評「82年生まれ、キム・ジヨン」
2年前、日本で韓国文学が異例の数十万部を売り上げました。「キム・ジヨンは私だ」という女性の声が後を絶ちません。親戚付き合い、父親の男女差別、就職、痴漢行為、等々、今まで見過ごされてきたジェンダー問題が見事に浮き彫りになっていました。 例えば、韓国独特の「ママ虫」という言葉があります。「専業主婦」のことを男性や独身女性が「我々は頑張っているのに、彼女たちはいい身分だよな」というニュアンスで使われているようです。子供のために仕事を辞めて頑張っているキム・ジヨン(チョン・ユミ)は、そうやってひとつづつ、少しづつ傷ついていました。そうして彼女に「憑依」という現象の多重人格が現れ出した、という所から映画が始まるのです。 映画では、現代の話に焦点が絞られていたし、コン・ユが理解ある夫になっているので、原作ほどの説得力はないかもしれません。 それでも、これを観た男性の映画仲間は「あの時の夫のあの一言はないよね」と憤っていました。この言葉を見逃すか、見逃さないかに、男性のジェンダー感度がかかっていると言っても過言はない、と私は思います。(←甘いかな) ものすごい決定的なドラマがあるわけではありませんが、それでも女性には大きな共感を持って迎えられたようです。最後は原作にはない救いがあります。原作を豊かに膨らませた部分もあります。これが映画的な作法でしょう。これは鑑賞者が試されている、そういう作品です。 (2020年韓国キム・ドヨン監督作品、レンタル可能) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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わ!
その一言、気になります! 私は原作を読んだ時はキム・ジヨンさんにある程度、感情移入して共感する部分も多かったんですが、映画になったら、キム・ジヨンさんは優しくてハンサムで高給取りの夫を持ち、首都圏で広くて新しいマンションに住み、可愛い子供に恵まれ、夫の両親は遠くに住んでてたまに会う程度、実家は地下鉄で行ける近距離で実家の母親との関係も良好、職場の人は職場復帰を待っていてくれる、本人も美人というこれ以上ないくらいの勝ち組で、 「文句があるなら、コン・ユ(キム・ジヨンの夫)を私に譲れ!」 と、腹立たしく思いました。 今の韓国で、映画のキム・ジヨンさんほど恵まれた環境の女性はほぼいません。 どれも手に入れられずにいる女性はいっぱいいますよ。 (2021年10月17日 13時51分08秒)
はんらさんへ
なるほど、ちょっと恵まれすぎ! という意見はあるのかもしれませんね。 まぁコン・ユを悪者にできなかったのかもしれません。 それでも、コン・ユが自ら育児休暇を取るよ、と言った時の「理由」は、映画仲間は敏感に反応していました。彼は30代ですが、これが今時の男性なのかもしれません。 (2021年10月18日 15時37分46秒) |
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