|
原泰久「キングダム(60)」(集英社)
いつもの書き出しでなのですが、ヤサイクンの2021年1月のマンガ便、第2便で届きました。「キングダム(60)」(集英社)、もちろん最新号です。 「あのなキングダム60巻が出てるんやけど、59巻ある?」 「ああ、あるよ。もう読んだんやろ。」 「あのな、あのマンガな、前の号から読み直さなようわかれへんねん。すぐわかる?」 「ああ、そういうことか。ぼくは筋より書き込みの字が小さすぎて、そっちが問題やな。」 「そんなこまかいとことばすやろ。」 「いやいや、読むやろ。」 2021年、1月第1便を届けくれたのが、お正月の三が日だったのですが、その時の会話で、ヤサイクンは59巻を持ち帰りましたが、読み終わったようで第2便で届きました。 で、「キングダム(60巻)」です。表紙を開くと「羌瘣」の美しいカラー挿絵があって、その次のページこれです。 「おっ!」と思いましたね。今まで気付かなかっただけかもしれませんが、「キングダム本紀」の表記が踊っていますね、ついに登場しました「紀伝体」表記です。 このマンガのネタ本が司馬遷の「史記」であることは間違いないと思いますが、ついに、このマンガの年代表記に「本紀」、すなわち「皇帝の歴史」という、「史記」に由来する歴史カテゴリーが使用され、マンガの現在が「始皇十一年(紀元前236年)」と記されているのです。 「始皇十一年」という表記は、「信」の親友、若き「嬴政」が秦王に即位した紀元前247年という所から数えていますが、まあ、「戦国の七雄」の一つであった秦の王「政」が、中国を統一し、アジアで初めて皇帝を名乗るのは紀元前221年で、そこからが「始皇元年」なはずなわけで、マンガの今の表記は「秦王政十一年」とされるべきところなのですが、なにせ「キングダム本紀」なわけですから、こういう表記もありなわけでしょうね。 マンガは、前号の59巻で、強敵「趙」との決戦が終わったかの印象ですが、下の年表をご覧ください。 前259 政(後の始皇帝)生誕 大雑把な年表ですが、ご覧の通り、実際に「趙」を滅ぼすまでにあと10年かかるのです。「60巻」で新たに戦いを挑んだ「楚」や、同盟した「魏」との戦いも、まだ十年以上続きます。 本巻では「楚」との戦いが始まり、新たな登場人物が登場します。 ここから、当分続くであろう闘いの武将たちです。 こっちが「楚」、「魏」、「秦」の軍師たちですね。 そのうえ、この巻では、かつては「秦」国の宰相を務め、王位に就いた「政」に蟄居を命じられていた呂不韋の死をめぐる面白いエピソードも語られています。このマンガでは触れられてはいませんが、「史記」が読まれ続けてきた長い歴史のなかで、秦王「政」の実父ではないかという、うわさの絶えない人物が呂不韋です。彼の死が、このマンガでどう扱われているか、そのあたりも読みどころですよ。 さて、原泰久さん、「キングダム本紀」と記したかぎりは、ここからの長い統一への道、書き上げる覚悟が定まったようですね。イヤ、それにしても何巻まで書くつもりでしょうか。興味津々ですね。 「キングダム」59巻の感想はこちらをクリックして下さい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.07.17 15:55:42
コメント(0) | コメントを書く
[週刊マンガ便 キングダム 原泰久・佐藤信介] カテゴリの最新記事
|