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再出発日記

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2018年09月17日
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カテゴリ:洋画(12~)
「県労会議機関紙」に連載している今月の映画評です。



「ワンダーウーマン」
一見は胸躍るエンタメです。マーベルコミックシリーズ(スパイダーマンやアントマンが活躍する世界)に対抗するDCコミックシリーズ(スーパーマンやバットマンが活躍する世界)のひとつとしてこれを観ました。

ところがその後、敬愛する映画評論家の町山智浩氏が、パティ・ジェンキンス監督が作ったこの作品を高く評価している文章を読んで意見を変えました(参照『「最前線」の映画を読む』)。

ジェンキンス監督にとっては、男たちの女性虐待を糾弾した「モンスター」(シャーリーズ・セロンがアカデミー主演女優賞)のあと14年目にやっと作った作品でした。そのせいか、単なるスーパーヒーロー映画ではなく、様々な寓意を含んだ「映画史における女性の描き方を大きく変えた傑作」になっています。
人間(マン=男ともとれる)を救うために、女だけの島アマゾンを離れて、ワンダーウーマンことダイアナ(ガル・ガドット)は第一次世界大戦中のロンドンに赴きます。戦争指導者会議に乗り込むと「どうして女を会議室に入れるんだ!」と怒鳴られたりします。西部戦線に到着すると、膠着状況をダイアナは一挙に変えてしまいます。塹壕を一歩一歩梯子を上がる姿はジャンヌ・ダルクの故事を踏まえているだろうし(英語では女性の社会進出を「梯子を登る」という)、ダイアナの後ろに英仏連合軍の兵士が続く場面は、ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」を彷彿させるでしょう。

ダイアナの装備は基本的には、全ての攻撃をはね返す腕輪と真実を語らせる鞭だけです。防衛力のみでドイツ軍を蹴散らしてきたダイアナは、人間に扮した軍神アレスを殺せば、自動的に戦争を終わらす事が出来ると信じていたのですが、やがてそんな単純なことではないことを悟ります。人間を見限りるか、困難な道を選ぶかの選択に、ダイアナは後者を選ぶわけです。「どんな人間でも希望はある、大事なのは何を信じるか。私は愛を信じる」と言って最後にキリストのように戦場に降り立つダイアナは、平和の女神でした。

原作は女性解放運動に根ざしていて、監督はそれをエンタメに仕上げたのです。シリーズの他の作品に出ているワンダーウーマンは別として、ジェンキンス監督の作品は多くの隠喩そして社会性を隠しています。それを見つける楽しみも知ってもらいたくて、今回はこれを取り上げました。(2017年米国作品)





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最終更新日  2018年09月17日 07時53分32秒
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