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カテゴリ:映画「元町映画館」でお昼寝
太田達成「石がある」元町映画館 東京方面とか、海外方面とかでやたら評価が高いというか、評判になっているらしいということを小耳にはさんで、夜19時開映という逆境にもめげずやって来ました。映画館の前に、時々お出会いする「映画小僧」(笑)、と、まあ、ボクがこっそり呼んでいるメガネ君がいらっしゃったので、ちょっと声をかけました。
「面白いの、これ?」で、お客は4人でした。見たのは太田達成という監督の「石がある」です。 見終えて、なんというか、言葉を失いました。 「今日で、何度目からしい彼は、この映画のどこが、そんなにええねやろ?」 まあ、そういう気分です。 「あそこの川底に、あの時、あのこが投げ損じたあの石がある」 まあ、そう考えるような人物が、じゃぶじゃぶ川を歩いて渡り、さっき出会ったばかりの女性を引き連れるでもなく、追いかけるでもなく、河川敷を目的もなく歩き、ええかげんウロウロして、突如、 「ボク帰ります。」 とか、なんとか、いい放って、家に帰って本棚の前でお茶を飲んで、日記(?)を書きます。 まあ、見ていてザンネンだったのは、こういう男が読んでいるのであろう本の背表紙と、書きつけている文字というか文章が最後尾の席からは見えなかったことです。 で、翌朝、昨日の場所あたりに行って、再び、膝まで水につかり、あの石を探していて、それを電車の窓から見た女の子がふと笑ったように見えて映画が終わりました。 「困ったもんやな、あんたら。」 この映画を見る前日のことです。西向き一方通行の北長狭通のモトコー5あたりです。道端のゴミ置き場の木の株に腰かけておにぎりを食べていると、道の向う側、JRの高架沿いの歩道を東から歩いてきた買い物袋を両手に下げた老人が前後を伺ったと思うと、楠の木の根っこに向けておしっこをし始めました。 「こっちも見ろよ!」 思わず声をかけそうでしたが、なんだか哀しい共感が浮かんできました。 映画を見終えて歩きながら浮かんできたのは、そのシーンで、 「こんなん、毎日のことやんな。ホントは、女の子となんか、めったに会わんやろ。まあ、誰ともしゃべらへんし。映画のあいつが、じゃぶじゃぶ水に入って行けんのも、若いからやし、でも、この年になっても、くるぶしぐらいまでやったら、まあ、ええかとか思いながら川の中歩いて、石いうても、3メートルはあろうかというコンクリートの壁を川底から這い上がれる踏み石はないかと焦って探しながら、ふと小便がしたくなって、川下で子供らが水遊びしてんのは知りながら、エイ、ままよ、とやってしまう。で、橋の上から小学生が手を振ってくれると、なんや知らん、やたらうれしい。」 とか、何とか、最近の徘徊の経験を思い起こしたりしながらも、やっぱり、妙に 「理が勝っている」 としか思えないスジはこびには、頷くのを拒む気分もあって、いやはや、めんどくさい映画でした(笑) チラシに 「途方もない無意味さになぜか心震えて」 とありますが、その無意味さとやらを、実際、生きている徘徊老人は、濡れてしまった足もとには、やっぱり、後悔しながらとぼとぼ歩いているわけで、まあ、どこかに「意味」を漂わせている、この手の無意味を描いた作品はつかれます!ですね(笑)。 監督・脚本 太田達成 撮影 深谷祐次 編集 大川景子 音楽 王舟 キャスト 小川あん 加納土 稲垣創太 稲垣裕太 秀 瀬戸山晃輔 山下光琉 五頭岳夫 チャコ 2022年・104分・日本 2024・10・08・no131・元町映画館no260
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最終更新日
2024.10.10 00:45:39
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