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カテゴリ:読書(フィクション)
『バッテリー5』角川文庫 あさのあつこ
毎回楽しみにしている今回の表紙絵は、早春の新田東の野原に座り込んでいる青波でした。退院直後だからなのか、少し痩せて見える。それとも少し背が伸びたからかもしれない。豪とケンカをして、仲直りをしたあとのりんごを持っているのかもしれない。 このシリーズは、少年野球物としてもすこぶる面白いのだけども、それよりも「このひとって、どういう人なんだろう」という一見すぐ結論がつきそうなことを延々この五巻に渡って(たぶんこのあともずっと)追い求めている不器用な小説なのだ。私は人にしても作品にしても『不器用な』ものは好きだ。 原田巧は自信過剰の我がまま天才タイプ。 永倉豪は気配り優しさいっぱいの努力家。 青波は素直で直観力優れた可愛い弟。 端垣俊二は天才スラッガー門脇に嫉妬しつつも プライドは高い戦術家タイプ。 門脇秀吾は単純明快努力家天才タイプ。 ……というような人間観察を、『そうとは言い切れないかもしれない……』とつぎつぎと壊していく。相手が分からない、自分のことさえ分からない、けれどもみんな野球が好きだ。だからぶつからざるをえない。 『人におもねる必要はない。馴れ合う必要はない。卑屈に従うことも、自分の想いを押さえ込んでしまう必要もない。しかし、人を拒んでは野球はやれない。人を愛しいと知って、初めて、本当の野球が出来るのだ。』そうだよ、洋三おじいさん。あなたの心配は的を得ていると私も思う。けれどもそんなことはきっと言葉では伝わらない。 2007年春、映画化。新田東は岡山県県北で撮影されている。 岡山にも、フィルムコミッションというものが出来て、ロケ地誘致に成功したのだなあ、と感心していまHPを見たら、全然情報が載っていない。岡山県ロケが実現していないわけではない。検索したら、今現在やはり新見市で撮影中だという。『釣りバカ日誌』みたいに『バッテリー』が観光映画になってもらったら困るけど、撮影情報はしっかりと宣伝してもらいたい。 岡山県は本来、日本映画の名作によく使われた場所でもあるのだ。私的にはもっともベストなのは、小津安二郎『東京物語』で笠智衆と原節子が穏やかな海を眺めるシーン。あれは物語的には尾道なのだが、海の景色の撮影は笠岡市の神島の南の先端でおこなわれている。今でもちゃんとベンチが置かれている。隠れたデートコースだといっていい。そうやって名作できちんと撮影されることで、観光以上の効果を生むはずなのだ。県の物産課よ、もっとしっかりして欲しいなあ。 話がずれた。ということで、この作品の映画化、期待している。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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やっぱり映画になるんですね。
この本は息子に図書館から1を借りてきて、息子の成長にあわせたように2~5が出てそのたびに買い求めたという、思い入れのたっぷりある本なんです。本を読まない息子もバッテリーは宝物。でも私は1冊も読んでいないのです。読書家のくまさんもお勧めとあれば読むべしですね。 (2006年08月18日 00時30分39秒)
ヨーコ1015さん
>やっぱり映画になるんですね。 >この本は息子に図書館から1を借りてきて、息子の成長にあわせたように2~5が出てそのたびに買い求めたという、思い入れのたっぷりある本なんです。本を読まない息子もバッテリーは宝物。でも私は1冊も読んでいないのです。読書家のくまさんもお勧めとあれば読むべしですね。 ----- えっ、買っているのにまだ読んでない?それはもったいない!この本を読んだら、息子がもうひとり増えるくらいに、好きになると思います。息子さんもこの本が好きだということは、やはりまっすぐ育っているんですね。 (2006年08月18日 07時41分50秒)
巴里雀さん
>>そうです。「県庁の星」に出てきた県庁でした。 >----- >と思ったら香川県庁だったみたいです。 ----- そうなんですよね。 県庁の星の香川ロケに詳しい人からも、香川県庁でロケをしたと聞きました。 香川県は、本腰を入れてロケ地誘致をしているみたいです。『UDON』楽しみです。映画サークルでうどんロケツアーをしようと計画中♪ (2006年08月18日 23時09分32秒) |
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