今日、何読んだ？

岩窟姫【電子書籍】[ 近藤史恵 ]

　話は面白い。
　筆力もある。
　読んだ人によれば、最終盤の大どんでん返しにびっくりしたというのだった。
　たしかに、あっ、その手があったか、とは思うけれど、ミステリーばかりを読んでいる向きには、特にびっくりするものではなかった。
　話は今風だ。
　コンピューター蔵置の写真に7桁の数字とカタカナの名字が散りばめられていた。
　この7桁の数字、気づく人は気づくだろうな。
　それから、今の世の中、すぐスマホで調べることができるから、スマホに数字を突っ込むね。
　この作家さん、無理なトリックとか考えるよりも、その流麗な筆致で面白い話を紡いでいく方のほうがよろしいのではないかと私は思う。
　岩窟姫という題名には、大きな意味があった。
　これは、謎として提示されていないけれど、その意味合いは大きい。
　途中から様々な人物が出てくるが。それらが最後に繋がるのも実に見事な仕掛けだと私は思う。
　特に謎の情報提供者、Q太郎の存在は、流してはだめだ。
　そして、刑事法、警察組織という観点から実に見事に外れていたので、澱が出ることなく話が流れていった。
　結局芸能界の闇の部分を話化したもの。
　芸能誌よりもわかりやすい。
　この業界の中身がこの小説のようなものだということは知らないけれど。
　もう2冊取り入れているので、この先がとても楽しみだ。（4/27記）