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2022.10.31
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カテゴリ:森村誠一

暗黒星団【電子書籍】[ 森村誠一 ]

 さて本作は殺害方法を交通事故を装った車利用による。
 それにしても森村はいよいよトリックに手詰まりとなってきたのかな。
 またはいわゆる多作家症候群、だからとにかく書かなければならない状態に陥ったか。
 しかしそれでも書きっぷりは実に丁寧だ。
 また登場人物もそれほど複雑でなくて心地よい。
 つぎに本件動機であるが、透析患者となってしまった医師が、兄弟の腎臓を手に入れるためということだった。
 医師らしい手口である。
 警察はそう簡単にこの医師の尻尾をつかむことはできないだろう。
 いっぽうもう一つの運転手殺し、これは犯人が別である。
 これも森村独特の書きっぷりだ。
 というのは、被害者どうしは何らかのつながりがあるので犯人が同じだろうと思わせておいて、最終盤にもう一人の犯人を出現させるのを森村は得意としているからだ。
 そもそもこの世にトリックは出尽くしたのかもしれない。
 ようするに現代ミステリーはいわば動機の物語をいかに分厚くするかということなのだ。
 とりわけ長編小説はそうである。
 以上のようにさすがの森村も多作家症候群に取り憑かれ苦労しているようだ。
 たしかに目詰まり手詰まりでは苦し紛れにしかならない。
 他方では目詰まりしようが手詰まりだろうが書きつなげばまた良作を書くことができる。
 私は、ミステリーというのはそういう中で育っていくものなのだと思っている。





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最終更新日  2022.10.31 05:00:09
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