カテゴリ:経営者のための連続コラム
大寒の連続講座 “伸びしろ”を伸ばす店舗経営のための チームビルディング
1-2 “伸びしろ”を伸ばすには自ら考えて動く現場を作らないといけない はじめに、こんなシーンを想像してみて下さい。 真面目な店長がいまして、社長がその店長に「あれやっておけよ、これやっておけよ」と指示を出します。 すると、「わかりました!やっておきます!」と二つ返事で返ってきます。 しかし、実際、その店舗に行ってみたら、一応はやっているのだけど、何か今一歩違うなあと感じられる。 このようなことはありませんか? なぜ、かような状況になるのかというと、その根は、人間は、自ら動機づけられなければ、動かないことにあります。 人からのサジェスチョンや指示で、「なるほど、社長の言う通りだな」と気づく面もありますが、与えられた以上にはなりません。 自分のアイディアとして、自分で考え、調べたり、勉強したりして「これをやろう、あれをやろう」というパターンに持ち込めないと、結局言われたことをやっているレベルからはなかなか脱却できないのです。 そこで、チームビルディングをやろうと考えたら、「自分(自分たち)で考えて、自分(自分たち)で動く」という習慣を作って行くことが第一歩になります。「そんなことは簡単だ」と思われる方がいるかもしれませんが、“言われたことをやる”(自分の体を動かす)方が楽なので、「自分で考えて、自分で動く」というアクションにはなかなか移行しません。 しかし、この“言われたことをやる”という環境は、関与する人の“伸びしろ”にはあまり作用しません。 自分たちで決めたことをやり抜いてこそ、その人の“伸びしろ”に作用します。 したがって、多くの人は自分の未来を実現できないわけなのですが、ここはじっと我慢で、じっくりと環境を作っていかねばなりません。 そのためには、まず、自分で決めたことをすぐやめてしまうという“三日坊主”的な悪しき習慣を脱することに重点を置き、簡単で当たり前のことをやり抜く行動パターンを作り出すことから始めなくてはなりません。 「これをやるぞ!」と決めたことをやり続けられないのは、決められたことをやり続けなくても、今いる自分の領域や次元では、あまり大きな変化や成果がないからです。 実際、成果が出るのがずっと先の場合もあります。 そうなると、「違う方法の方がいいのではないか」と目移りしてしまい、何か、真新しい画期的な方法を求める人間の習性があるのです。 この、ある意味、「病気」とも言える習性に効果のある薬は、成功体験――何かひとつのことをやり抜くこと――しかないのですが、何かをやり抜けば、山の頂上から見下ろして、長い道のりも一歩一歩が大切だったと気づくものなのです。この気づきが一度でもあれば、「あ、これはこういう風にやった方がいいな」というような気づきの連鎖が起こるのです。 したがって、言葉は悪いのですが、いい人財が来ない職場環境の店や企業においては、まず「やり続ける」、「やり抜く」ということを現場に定着させることが先決です。 「ちょっとなあ…」というような社員に囲まれていると感じるのであれば、チームとして戦力化する時に、「やり抜く」ことを体験させることが大切なのです。 そのために、押しつけのルールを作るのではなくて、自分たちでルールを決め、そのルールをやり抜くことで、自分たちをマネジメントすることをやってもらいます。自分たちで決めたルールなら、納得してやるしかないです。やるしかないわけですから、逸脱したら、お互いに注意し合う、できない人を指導する。かようなプロセスを自然に行うことで、いつしか、チームを作るプロセスのひとつをマスターします。これによって、言われたことをやる集団から、自分たちが一丸となって何かに向かっていくというまとまりを作っていくことができるのです。 これにより、「できたか、できなかった」という労働者レベルから、人の“伸びしろ”を活かしてチームとして動く、目的集団に変貌させ、そこに関わる人が成長するのです。 人口減少で需要が自然増しないこれからの時代は、“言われたことをやる”という職場環境から一歩進んで、“自分たちで考えて動く”という“伸びしろ”を伸ばす職場環境に転向していく必要があります。自分たちでルールを決めて、自分たちで守る。 できない人を指導する。 このプロセスがチームビルディングの技術の第一歩です。関わる人の“伸びしろ”を伸ばすにはこのような環境作りを自然に覚えさせてあげることが大切です。 ~『四方よし通信』2014年10月号より 次回に続く 大久保一彦の本 誰も言わなかった!飲食店成功の秘密 [ 大久保一彦 ] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2023.02.24 16:51:11
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