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“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

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2005.11.18
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 あなたは、いいサービスというとどのようなことを想像しますか?例えば、笑顔で接客してくれるとか、名前で呼んでもらえるとか、かゆいところまで手が届くとか・・・
いいサービスといっても、なんとなくイメージはつかめても、いざどのようなサービスをもって良いサービスなのかを、具体的な言葉で表現するのは困難なのではにないでしょうか?
実は、人によるサービスはそのお店全体のコンセプトからさじ加減が導かれるべきで、価格や利用動機も違いますし、すべてに万能なサービスというものは存在しません。
これが、どんなサービスをもって良いサービスなのか言いづらい理由なのです。
自分のレストランにとってどんなサービスが良いサービスなのかはその店の本質に左右されます。本質とはその店にとって一番大切な核になるベネフィットと思っていただくとよいでしょう。
例えば、ファーストフードの店で大切なことは差し迫ったお客様の空腹のイメージを早く解消し、満腹感をすばやく与えることです。以前お話した表現を使えば、いっぱいにし、血中ナトリウム濃度を上げ、血圧をあげ、ビビっと刺激を与えることが大切です。
また、店を気軽に利用できる価格の安さも大切です。気軽に店に入れれば、空腹感を解消する時間的なラグを短く感じさせることができるからです。当然、価格の安さを訴求しますと、中心となる業務を単純化し、標準化し、労働単価の低いアルバイト・パートさんで運営せざるを得ません。ですので、お客様や会社が想定し、期待した範囲でのサービスを行うことがメインになります。ある程度起こりうることを想定し、マニュアル化、システム化して対応します。このようなやり方をリスク・リバーサルと言います。差し迫った必要性に基づく需要がある場合や、市場が成長し急速に伸びている時期に、お客様はそんなに凄いサービスを要求しません。ですので、期待通りのサービス、すなわち、リスク・リバーサルで十分だったのです。
逆に、時間を消費する場合、消費する時間にふさわしい演出のスタッフを揃える必要があります。店のスタッフは集客するお客様の軸となります。なぜならば、店のスタッフ以上にいいお客様は立地に恵まれない限りいらっしゃいません。店のスタッフがいいからこそ、お客様の期待をいい意味で裏切るのです。すなわち、いい人材を雇わない限り良いサービスができないのです。最近、よく、「サービスを超えるサービスをしないといけない」と言いますが、これは、良い人材を雇って初めてできることなのです。
 立地が良く、競争がなければ、ある程度当たり障りのない従業員を雇い、しっかり、決められたことをやってもらえれば良かったのですが、外食市場が成長して、多くの参入があり、競争が激しくなるにつれて人がキーとなるようになりました。
 では、人によってどんな差が生まれるのでしょうか?
実は、感じ方の差が生まれるんです。おいしさの感じ方がひとつひとつ違うように、人と人とのコミュニケーションであるサービスは感じ方によって、大きく印象が変わるのです。ここで言うサービスの感じ方とは、従業員及び、お客様双方の感じ方を示しています。
 ちょっと具体的な例をお話しましょう。先般、大阪に出張し、地下鉄を下車したときのお話です。出張で荷物が多かったために、地下鉄の改札で両手に荷物を持っていた関係もあり、地下鉄の自動改札でちょっとかがんで、切符の授受をすることが非常に困難でした。そのため、自動改札でいちいち、荷物を入れたり、出したり、難儀していました。
ここまでは、よくある話です。大阪市営地下鉄の従業員さんは、そんな私の姿を見てか、切符を自動改札から取り出し、手渡してくれたのです。
もしかしたら、あなたは「なんだ、そんなことか・・」と言うかもしれませんね。
でも、一見、なんでもなさそうなことですが、この動作を瞬時にすることは決めごとにしてあってもそう簡単にできることではありませんよ。
なぜならば、自然に、何も考えず、瞬時に、相手の立場に身を置いて考えることができないとこの一瞬の対応はできないからです。よく、「相手の立場で考えなさい」といいますよね。でも、この言葉はちょっと不十分なんです。「相手の立場で考えなさい」の「考える」の前に「瞬時に、無意識に」という言葉を補充しないといけないんです。
「瞬時に、無意識に」ですから、そういう文化や習慣を持たない人では、そうそう簡単にできることではないのです。「瞬時に、無意識に」という文化や習慣を持つ人は、感性が鋭く、相手の仕草や表情に常に気を払い、決して作業をしません。どんな作業の中にも、相手の表情や変化に敏感になれるセンサーがあり、良心に基づいて決定し、即座に行動に移すことができます。
そうなんです。この小さな差が大切なんです。ちょっとしたことに気づけば、お客様にハッピーに感じていだいたり、お客様に気持ちよく感じたりできるのです。そして、このほんの僅かな差から、良いサービスを受けたという印象を受けることができるんです。
 「必要なものがある」あるという便利提供の時代は人を理で使って来ました。しかし、今は、お客様にこのほんの僅かで、小さな差で、その店を特別な存在として認識させる時代です。このほんの僅かで、小さな差を作り出すその根底が情になるのです。
情の接客サービスの基本は、現場で働いているひとりひとりの人材です。時間をかければ、技術をマスターすることができます。あるいは、ちゃんとしたトレーニングを施せば作業をマスターすることができます。しかし、その人が長年の生活や生活環境の中で培った、感じ方や気質や感情の持ち方などのパーソナリティは変えようがありません。ですので、この僅かな差で差をつけたいならまず大切なのが人材採用です。いい人を採用し、のびのび活躍できる環境で、自分自身の判断で、作業でなく、サービスをしないといけません。
これからの人材は感性が豊かな人間でなければなりません。なにごとにも喜び、悲しみ、疑問、変化などを感じ、創意工夫したり、思いやりをもったりして、対応できる習慣や気持ちがある人間でなければいいサービスはできませんなしません。そのキーとなるのが人材採用、すなわち、面接なのです。
面接で大切なこと、今までは、業務経験を重視しました。それは「必要なものがる」時代、「必要な技能」が重視されていたからなのです。しかし、時代は変わりました。「ちょっとしたことに気づき、瞬時にベストな対応をする」ことが重要な今の時代、「感じる」ということを基軸にした面接を行わなければならないのです。今や、面接で大切なことは、その人間の感性が豊かでやさしい心を持ち合わせているか、感取ることなんです。履歴書や面接カードなどに書くことと言えば、学歴や、経験、資格などがほとんどです。しかし、これらの要素はお客様にとってはよっぽどのことが無ければ意味がない場合が多いのです。では、何を聞いたら良いか、それが、今回、もっとも覚えておて欲しいことです。
まず、「あなたは最近、何に感動しましたか?また、その理由はなんですか?」この質問は非常に優れていて、その人が何に興味があり、どんな生活水準で、どれくらいの感性を持っているかを感じ取ることができます。なぜならば、感動は、その人の文化そのものなのです。本を読んで感動した人、映画や観劇を見て感動した人、人に何かをされて感動した人、店で何かをされて感動した人、などなど様々です。また、まったく何も感じなかった人もたくさんいます。
感動の対象がお客様のレベルに合っているか?あるいは、感動の対象が、行動に移せるか?商売はつねに、自分自身の心との戦いです。感動が思い浮かばない乾燥した感情の持ち主では立地商売の作業はできても、飲食店のサービスはできないです。
すでに、お客様は、両手が塞がっていたら、切符をとってあげる時代なんですから!





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Last updated  2005.11.25 22:39:57


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