カテゴリ:経営者のための連続コラム
ヘルシーメニュー展開例
~ゴルフ場経営誌 過去の連載より 前回は成人病という重いテーマを基にヘルシーと言えるメニューはどういうものであるかについて言及した。その理由は企業の社会的責任という概念が高まっているからである。今回はその知識を基礎におきながらも、ゴルフ場レストランにおけるヘルシーメニューの展開方法についてお話したい。 よく、「これからは“健康”だ」ということで、いきなりメニューとしてはめ込むお店を多く見受けますが、実際、「導入したメニューが動かない」という声をよく聞きます。 健康メニューを売るには、まず前回お話した使命感といいますか、健康メニューに対する思いが必要となります。最低限でも、なぜ、ヘルシーメニューを導入するか、そして、どのようなメニューがヘルシーメニューと言えるのか理解しないと売れません。 ここまで、たどりついたら次のステップ売り方に進みましょう。今回のテーマです。 ヘルシーメニューを販売する上で大切なことは、価格、見せ方です。 まず、価格について見ていきましょう。 日常の食事を提供するレストランには概ね三つのタイプのお客様がいます。まず、最初は、リーズナブルな値段でお腹がいっぱいになることを望むお客様。二番目が、ちょっと高くてもいいからおいしいものを食べたいと思うお客様。三つ目が、健康面で何か制約がある、あるいは健康面に気を使うようになったお客様です。 全体で見ますと私の経験では、最初のタイプが60%、二番目、三番目が20%という割合になります。 最初のタイプのお客様も、価格のところでお話しましたが、350円から500円くらいをリーズナブルと考えるコンビニ、牛丼のグループ、500円くらい700円のリーズナブルランチグループ、700円から1000円の一般ピープル(略して般ピー)グループに分けられます。二番目のグループは1000円以上の価格帯になり、1500円から2500円でも許容範囲の価格となります。 では、三番目のタイプのお客様の価格帯はどうなるのでしょうか? 私の経験では、利用動機で大きく変わります。最初から、潜在的な健康に対するなんらかの意識に訴えかける場合、例えば、女性に店頭のサンプルなどのディスプレイで商品設計のしっかりしたメニューを見せて売る場合や、すでに病気になっており、ヘルシーな食事をしなくてはいけない場合、1000円以上の高めのプライシングをして販売します。 しかし、リピーターを狙い食後感でヘルシーさを演出する場合は、700円~1000円、500キロカロリー弁当などは700円弱のプライシングが理想です。価格がリーズナブルであることで、なんとなく健康によさそうなメニューでも十分おいしく食べれますとこの商品の支持者となり、場合によっては、ゴルフ場の顔、すなわち、四番バッター商品になる可能性するらあるからです。 見せ方で大切なのは「だれに売りたいか」、すなわちターゲットをまず明確にすることです。ターゲットの真理をつかみ、商品設計を行うこれが二番目のポイントとなります。 例えば、誰に売るかによってそのメニューの見せ場となるメインディッシュ、すなわち、主菜を変えないといけません。そうでないと、あなたの作ったメニューは行き場を失いただ売れないメニューとなってしまいます。 例えば、30歳代~40歳代の男性にヘルシーメニューを販売するなら、ハンバーグなどがいいでしょう。このハンバーグという見た目から、中身をヘルシーメニューにするのです。 どのように作るかは、後でお話します。しかし、20歳代~30歳代女性に対するヘルシーメニューなら、トマトソースを前面に出し、見た目を女性が好むようにし、かつ、男性と違い、見た目からヘルシーに感じるように具材を選定します。例えば、トマトソースの主菜の場合、少し脂肪の少ない皮なし鶏の胸肉を入れ、玉葱、色づきピーマン、ズッキーニなど野菜を入れて煮込んだり、炒めたりしたりすればよいのです。 女性はフィーリングが重要です。 ですので、健康的と感じる見た目を大切にします。例えば、女性へのヘルシーメニューで肉を使うときは、鶏肉を主体にし、牛肉はあまり使わないことが大切です。最初からボリュームを求めるコロッケやシチュー、カレーなどのメニューならいいのですが、ヘルシーメニューでボリューム感を感じる食材は、例えカットが小さくても使わないことが大切です。また、調理方法としても、フライものは基本的にはいれず、グリルしたものや煮込んだもの、茹でたものを使う必要があります。それくらい、見た目で判断するのです。 男性にヘルシーメニューを提供する場合は逆になります。見た目は男性が好むものにし、中身を食べたときに納得してもらえるように商品設計をしなければなりません。 例えば、ハンバーグなどを主菜で入れると効果的です。「ハンバーグじゃヘルシーメニューにならないじゃないか?」と思われるかもしれませんが、ハンバーグ自体をヘルシーなものにしておくのです。 男性の場合、原材料は牛挽肉を使ってください。女性と違い、男性は、食後感をある程度重視した方が「また食べたい」と思うのです。食後感を考えながら、ヘルシーな心遣いをする。これが、男性に対するヘルシーメニューの基本です。 さて、この場合、牛肉の配合を少なめにします。その代わり、豆腐を増やし、油脂ではなく、炒めた玉葱をふんだんに入れ、コクを出します。もちろん、細かく刻んで軽く加熱調理した人参、椎茸、竹の子などの野菜を入れればなお理想的です。竹の子などの歯ごたえのある野菜を加えて食感を出すと満腹中枢を刺激し、満足感を与えます。そして、グラム数も少し控えめにし、通常なら最低でも100グラム以上のところを70グラムから80グラムに抑えます。量感を出すために、下に、女性用に使ったトマトソースで調理した野菜を土台にするのです。 このように、価格設計、ターゲットにあわせた商品設計をしっかり行えば、あなたの店で取り組んだお客様への思いは甘い、甘い果実となってあなたの店を豊かにするでしょう。 大久保一彦の本 【中古】 なぜか行列のできる飲食店の法則 味・値段・立地は関係ない! /大久保一彦(著者) 【中古】afb お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023.05.10 09:53:52
[経営者のための連続コラム] カテゴリの最新記事
|
|