カテゴリ:経営者のための連続コラム
芒種連続講座 第3回
2 これからの食のトレンドはどう動くのか 会報バックナンバー「四方よし通信」2015年7月号より キーワード3 倫理性 そして、「倫理性」です。「倫理性」とは、「それはおかしくない?人として」という部分の排除、人として正しいことをすることです。 たとえば、今の風潮というのは、どちらかというと、言葉で価値を付けて売れればいいと、嘘とも言えるような過大な表現をしてしまうなどの行為は代表的な例でしょう。 この倫理性というキーワードで、メニューブックの作り方も変わるでしょう。おそらく、2020年ぐらいを境に変わってくるのではないかなと思います。 現在、私はJAのレストランをお手伝いしているのですが、JAのレストランでは、内部に基準が厳しいものがありまして、メニューの表現一個にしても、非常にルール化されており、「こういう表現はしてはいけない、こういう表現をしなくてはいけない」と非常に明確化されています。 そうなると、ここから派生して大きな変化が待っております。それは「本質的なうまさ」が追求されることです。 いい具合に、アベノミクスで、高級レストランというものが良くなってきておりますので、この流れで行きますと、お客さんというものは「本質的なうまさ」を求めてくる時代が来るなという風に思っております。これは私の印象です。 たしかに、地方と東京の格差はものすごくあるのですが、最初は東京から始まって、その後、地方に行った方がうまいというものはいっぱい実際にはあるわけです。 東京には集まってくるけれども、時差があるので、その時差で逸失したうまさというのはいっぱいあるので、地方が見直される時期というものが来ると思うのです。私は、「本質的なうまさ」というものが大切なのだなと思う部分は、最近よく紹介させていただいております、ちょっと前も「熟成肉 中級編」で紹介させていただきました、六本木、場所的には麻布十番が近いのですが、『旬熟成』のお肉ですよね。ここで、何度も、料理人の新しい人と試食会をやっているのですが、皆さん、「いやあー。これはおいしい」と、食べ着けた人は、絶対においしいと思うのです。うまさとか香りが持っているニュアンスとかが、従来あった牛肉や豚肉と全然違うのです。実際、その『旬熟成』のお店は、月間1,000人ぐらいのお客さんを断っているのです。年間にすると、相当な人数を断っております。 つまり、お客さんは、わかるようになってきたのです。色々行って、差がない店が多いということがわかってきたのです。そうすると、一店、差がある店がわかると、ここに集中してしまうのです。実際、食べログで評価が高い店というのも、私はたくさん行きましたが、上の方にある店は、どこもそれなりにいいですよね。値段が高い店は別としてですが。お客さんはわかるのです。そして、喜ばれるお店はわかるのです。「本質的なうまさ」の追求というのはものすごく大切になってくるのではないかと思います。 最後にキーワードをまとめてみますが、「本質的なうまさ」を追求していますか。もっと、おいしくなる手法、方法論、あるいは、自分で作る、作らない色々な方法があるのではないですか。そして、皆様の店舗のあるエリアの「ローカル性」を発掘して下さい。そして、その関わる人が「持続可能」なやり方をしておりますか。そして、「倫理」的に問題ないことをしておりますか。こんなようなことが、これから、大きなテーマになってくるということで、今回はワンポイントレッスン的にお話をさせていただきました。 大久保一彦の本 ![]() 【中古】 行列ができる店はどこが違うのか 飲食店の心理学 ちくま新書/大久保一彦【著】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2024.06.29 08:55:39
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