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定番メニューをブラッシュ・アップ
大久保一彦のゴルフ場経営誌連載ホールアウト記念、全原稿連続アップ! 大久保一彦のホームページはこちらからどうぞ 今回は16回目の原稿です! <リード> 今回はメニューの見直しのポイントについてお話していきたい。ここの二階にわたってヘルシーメニューの基礎知識と展開方法をお話しした。メニューと言うのは全体のコンセプトがあって、その中に客層や利用シーンなどをふまえて枝葉を設けなくてならない。今回はこれらをふまえて、メニュー全体のブラッシュの方法を伝授する。 <本文> コックさんがメニュー作りを考えると商品そのものをそれぞれ発想します。 「こんな、メニューがあったらいいんじゃないか?」「こういうソースがあったらいいんじゃないか?」「ヘルシーな野菜を使ったメニューがあったらいいんじゃないか?」「ボリュームのあるメニューがあったらいいんじゃないか?」と商品そのものを、それぞれバラバラに考えつのです。 商品自体をそれぞれ考えていると実に“必要だと思しき”商品がいっぱいあり、その必要と思しき商品をメニューブックにのせていると大変なメニューの数となるわけです。売上が悪い店がメニューが増えて収集がつかなくなってしますのは、個別に必要だと思うメニューを次々と増やしていくからにほかありません。 でも、実際、お客様が来店した時にお選びになり食べられる商品は定食屋のような店ならひとつですし、居酒屋でもごくごく限られた商品です。ですので、幅広い品揃えは、結構、無駄な面も多いのです。 メニューを考える上で大切なことは、このあと説明しますが、食事をされてお客様と自分自身との関係です。お客様との関係は概ねふたつに分けることができ、これがメニュー・ブラッシュ・アップの最初のポイントとなります。 そのふたつのタイプの一つ目は、お客様より常に下の立場になって、執事のようにお客様をアシストする方法です。これをアシスト型メニュー展開といいます。 もうひとつが、お客様の上位に立って、お客様に観劇や競技を見たときのような、驚きや感動を与えるタイプです。こちらを、劇場型メニュー展開といいます。 劇場型メニューは次回説明いたしますが、演劇の演出家と聴衆のような関係にあります。 さて、今回はアシスト型のメニューについてみてまいります。 アシスト型メニュー展開は概ね競争が激しくなく、お客様がある特定の場面で、その店を選ばなくてはいけない場面に最適です。つまり、競争が激しくない場面がいいわけです。例えば、競争が少なかった時代の地方の飲食店、JRなどの駅構内、そして、ゴルフ場などの競技施設、演劇施設など閉鎖された施設内でのランチです。 この場合のメニュー展開は、幅広い品揃えをし、お客様の不満を極力減らすようにします。採算面を考えなければ、お客様の不満が一番少なくなる方法は、ある程度、調理の最終行程を残した、ビュッフェです。 ビュッフェ自体、自分の好きなタイミングに、好きな料理を好きなだけ食べられるので、価格設定さえ高すぎなければ、不満になりにくいのです。会計などの心配がなく、自分が自分の利用シーンにあわせて好きな商品を選べるという点で日常の商圏においては非常にすぐれています。ビュッフェと言ってもいろいろなスタイルがあり、効果を発揮するもの、発揮しないものがあります。 どれを選んだいいのかわかりづらい商材のように、商品自体に決め手がなく、一品を選びづらい場合に、いろいろな種類を用意して、好きなものを好きなだけ選べるようにすると効果がでる出る場合があります。 私のお客様にスコーンと紅茶の専門店があります。スコーンを10種類、紅茶を常時30種類くらい品揃えし人気がある店があります。スコーンも、紅茶も地方都市で馴染みが無いものであります。つまり、お客様にとっては選びにくいカテゴリーの商品群なのです。ところが、ビュッフェ形式にしてあげつと、“お客様が良く知らないカテゴリーの商品を選ばなくてはいけない”という行程を省き、“スコーンと紅茶を楽しむ”という価値観に変えてくれます。このスコーンの例のようにビュッフェは効果的に取り入れると市場導入期に力を発揮します。 次に、不満が少ないのが、好きな小鉢や料理などを自分で選ぶ、大阪によくある“めし屋”形式です。地方都市や住宅地など商圏の力が小さい立地になるこのタイプの店が多くなります。 アシスト型のメニューのメニュー・ブラッシュ・アップをする場合、第一印象はメニューそのものに特徴を出しにくいので、ビュッフェやカフェテリヤ方式を取り入れ売り方に特徴を出すようにします。 そして、次に、商品自体に個性を入れます。個性を入れる場合、狙う客層をよく考えて、特徴を商品自体に落とし込んでいきます。 商品に特徴を落とし込む場合、まず、売れ筋になる商品10品目をピック・アップしてブラッシュ・アップするのがいいでしょう。というのは多くの人がその商品を食され、“印象”をさりげなくインプットするからです。もし、ビュッフェの場合でしたら、消費が多い品目をチョイスしてください。 例えば、ヘルシー感を求める女性だったとしましょう。その場合は、トマトソースを使ったものに生のトマトを用いてフレッシュ感を出すとか、いろいろな野菜と煮込むとかいろいろな野菜をグリルしてのせるとかして、野菜がいっぱいであると印象を受けるるようにブラッシュ・アップするといいでしょう。ランチタイムの女性はオムライスが好きなようで、オムライスのソースと具材を野菜たっぷりに工夫するだけで印象が大きくかわります。一般的に女性向けにブラッシュ・アップを展開する場合は、肉料理ではなく軽めの印象を受けるメニューがいいです。 逆に、男性を意識してヘルシーな印象を与えようとするならば、ハンバーグなど男性が好むメニューに玉葱のソティを多く入れ、少しやさしい印象を与える上に、ソースにも野菜を使ったものにするなどが考えられます。 玉葱をふんだんに使ったトマトソースで煮込んだカレーなら、男性も女性もファンにすることができるでしょう。玉葱は原価も周年安定し、特徴をつけるには最適な食材と言えます。原価の低い食材を有効に使い、特徴を出すかがポイントです。 そして、今、消費者が食品に興味を持ち始めています。私の友人の阿部司氏がダイヤモンドから出版した「食品の裏側」が60万部以上売れました。自らのメニューを見直すとき、できあいや、化学調味料などに依存せず、自然な味からインパクトを出せるようにがんばってください。 最後に、まとめです。アシスト型のメニューのブラッシュ・アップ場合、見た目売り方、特徴、主力と覚えておいてください。この二段構えでメニュー・ブラッシュ・アップの効果はじりじりと出てきます。 次回は劇場型のメニュー・ブラッシュ・アップのポイントのお話をします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022.04.29 18:02:02
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