カテゴリ:経営者のための連続コラム
チェーン・レストランには「開店したときがピークで、
以降、売上は下がるのは当たり前だ」という考えかたが すっかり定着しています。 店の出店、拡大に主眼をおいた経営をしてきた成長の時代の遺物であります。 外食産業の市場規模がピークを極めた1997年は 店舗の運営方法において大きな転換となりました。 実はこのことに気づいたのが繁盛店であり、 日々の営業における現場重視の運営をしています。 店舗の業種業態やパッケージそのものに魅力があり、 市場性が高ければマニュアル化して決められたことを 広げていけばよかったわけです。 パッケージそのものに魅力が無くなるといと、 昨日と同じ店であることはリスクとしてとらえないといけません。 現場で働く人にとっては耽々と時間が流れ、一日が終わり、 また翌日になる。 仕事はまるで、きめられたことをコピーすることで営業は繰り返されます。 しかし、このような決められたことのコピーは ふたつの側面の劣化によりリスクを顕在化させます。 ひとつが、同じことを繰り返していることを見続けることで お客様から見た店の鮮度劣化です。 もうひとつが意外と成長の時代には気づかなかったことですが、 コピー機でコピーを繰り返すうちに劣化していくことと同じように、 店の営業が劣化していくことです。 私はこの現象を“営業劣化”と言っています。 鮮度劣化は営業劣化に大きく影響をうけます。 ですので、営業劣化をさせない職場作りが重要です。 営業劣化には順序があります。順序だてて対策を練らねばなりません。 (ステップ1 生産性をあげる) フランスのアルザス地方にある小都市リクヴィルで 私の友人の弟さんが料理人として経営をまかされています。 彼のところには、アルバイトのスッタフや 日本から料理の勉強にやってきた見習いの若者がいます。 彼はつねに「体より頭を使え」という言葉を繰り返します。 この意味するところは、決まったことをまず何も考えないでする ――すなわち体をまず動かすのではなく、 まず、本当に今やろうとしていることでいいのかを考えて、 そして行動に移しなさいということです。 営業劣化が止まり進化する現場に転じさせる状況というのは 余裕のある中では生まれません。 今現在の自らの限界を超えることに各自が挑み、 成就して初めて生まれるのです。 チェーン・レストランで営業劣化が顕著なのは、 チェーン理論によるところの標準化――すなわち、誰でもできることに 業務を集約したにあります。 営業劣化は成長の時代に重視されたQSCと別次元にあります。 だれにもできないことをだれでもができることによって、 営業は進化し、そのとき初めて営業劣化は無くなり、 営業コピーでなく営業するごとに進化するようになります。 営業が進化するようになると、営業日数を増すごとに売上が増えるようになるのです。 限界に挑むと言っても、 彼の職場は怒鳴り声が飛び交う体育会系の雰囲気ではありません。 彼の営業の進化は次のようなどこの店でも日常的に繰り返している ルーチンワークの中から生まれています。 「例えば、ソースでもひとつの容器に入れておくより、 使う分だけ真空パックする。真空パックだと3~4ヶ月も日持ちし、 火を入れればすぐ使える。 こんな感じでうちのアルバイトや見習いは頭を使っていかにロスがないように クォリティが高いものを、常に言い状態で量産できるか考え実行すします」 つまり、営業を進化させることは現場サイドで自発的な 生産性の追求をすることを意味します。 現場の最前線のアルバイトやパートでしか気づかない小さなことに目を向け、 すかさず改善します。 小さな改善ですが、これを繰り返すと営業劣化はおこりません。 そして、この積み重ねがある一定レベルを超えると生産性がアップします。 このアップした余力をさらにハイタッチな お客様にとって価値を生み出す業務にふりわけます。 そうすると圧倒的な営業力ある現場となるのです。 彼はなんと13歳から出張料理してきました。 そして、その出張料理から現場の小技を習得したと言います。 出張料理とは過酷な現場です。 「フライパン一個しかない」「小さな鍋が三つくらいしかない」など ままあるのです。 このような場合であったとしても、 彼は「できます」と言うしかありません。 料理を完成させなければならないからこそ、 予定時間に合わせてありとあらゆる努力をするのです。 毎回違う環境で仕事をする出張料理には営業コピーというのはないのです。 しかし、目標はいつもかわりません。 「お客様に喜んでいただくこと」ために、「できました」と必ず言えるよう 現場改善をするのです。 「じゃがいもの皮むきの達人は、皮を剥くスピードが速いのではなく、 準備やかたづけが違う」と彼さんは言います。 彼の営業劣化しない職場作りの根源は出張料理にあったのです。 今までは、だれでもすぐできるということを重視してきましたが、 これからの時代は、小さな積み重ねで生産性は高めないとけないのです。 そのためには、パート・アルバイトに長く勤めてもらえる 職場作りをしないといけないのです。 成熟の時代は、生産性アップは会社が与えるものではなく、 現場がつくり出すものなのです。 そのために、営業をコピーしない現場作りをしないといけないのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.08.17 00:31:42
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