カテゴリ:経営者のための連続コラム
昨日の続き
しかし、「山利喜」は生き残りました。 大衆酒場にも、一歩先を行ったお店だったときがあったのかもしれませんが、いつしか、後発の居酒屋チェーンにおいつかれたのです。そして、ただ、古いだけの店になってしまいました。業績が悪いからお金をかけられない。つまり、経済的なことばかり頭によぎり、商売にとっていちばん大切な進化を忘れてしまった、とうわけです。 「山利喜」は、そんな居酒屋が増えていることに真正面から向き合ったと思います。そして、旧来の大衆酒場のもっていた「仕事帰りの語らいの場」という性格を、衝動来店型の場の提供と目的来店型の場の提供とに切り分けたのでしょう。 私が思うに、「山利喜」にわざわざ来る人を考えて、「ちょっと高くてもいいもの」「チェーン店のものは不安な人」に、場を提供しようと考え、居酒屋チェーンで出てこない本物の味で語らえるようにしたんだと思います。 クレソンのサラダ、生ハム、ブルゴーニュのワイン。 私ら、食にうるさい人間が飲みたいときに欲しいものが「山利喜」にはあります。 「大衆酒場」という看板があるにも関わらず、本物を知っている人がほしいものがあります。 決して安くはありませんが、過ごしたい時間がそこにあります。 だから、ちょっと食に貪欲な丸の内のOLさんなどが店にいらっしゃるんです。 まとめますと、「山利喜」には時代にふさわしい演出のテーマがあり、その演出を、商品やお酒、いろいろなことで行っているのです。 つまり、お店の「演出」を考えるとき、まずはじめになければならないのは、テーマです。店が定めたテーマに従い演出すれば、いっぱいある店の中から自分の店を識別する標識にすることができます。 店として自分が追い求め続ける変わらぬものをまず考え、その上で、お客さんを魅了するためにどう演出を行うのか、その時その時のテーマを決めます。 毎年、テーマを決め、店の演出を進化させれば、商売は絶えないのです。 あなたは、お客さんの心に、どんなことを提供したいですか。 それを考えてみてください。 大久保一彦の本 ![]() 【送料無料】成功する小さな飲食店の始め方 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.10.31 19:08:51
[経営者のための連続コラム] カテゴリの最新記事
|
|