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“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

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2012.02.27
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 コンセプトを決める九つの要素があるために業種選びが終わったからとて、安心できません。
また、時間の経過とともに店をとりまく環境が変化するのでコンセプトにズレが生じます。
そのため、ある程度のスパンでの見直しが必要になります。

 それでは、コンセプトを決める業種以外の九つの要素を掘り下げましょう。

(1)業種
 業種選びはビジネスの構造を決めてしまうので重要です。
業種とはそば屋、うどん屋、カレー屋など主力商品(何を売る)を意味します。
飲食店を経営してみたいと思っている人でも、どんなお店をやってみたいのかがはっきりしないことが多いです。
相談にお越しになったかたでも、飲食店をやりたいと思っているだけで、どの業種にしたいか迷っている人が実際は圧倒的に多いです。

(2)ターゲット客層
 業態を決めるときに誰をねらうのかは重要です。
それは狙うターゲットによって店作りが変わってくるからです。
例えば、中年のサラリーマンをターゲットとする居酒屋と若者をターゲットとする居酒屋では求められるメニューレベルもメニュー構成も違います。
もちろん、内装などの雰囲気作りも違いますし、求めるサービスのスタイルもサービスをするべきスタッフも違います。
したがって、両方を取り込もうとするとどちらも取り込めなくなります。
それは、中年サラリーマンと若年層では求めるものが異なるからです。

(3)利用する場所(出店立地)
 出店立地によって、客層自体が違いますし、同じ客層でも消費の傾向が異なります。
したがって、近隣の居住者や事業所やトラフィック・ジェネレーターと呼ばれます交通発生源の性質を考えながら、立地戦略を練らないといけません。

(4)ターゲット時間
どの時間で勝負するのかも重要な要素です。お金の使いかたは時間によって変わるためです。
 例えば、オフィス街ではランチの集客が見込めます。
しかし、日常的なランチの予算は極めて低く、都内のサラリーマンだと500円くらいと言われています。
あまり昼間を主体に考えてしてしまうと夜の集客に苦しむことがあります。それは、昼の営業で食事色の強い店に見せてしまうと、「ご飯を食べるにはいいが、お酒を飲む雰囲気でない」と感じてしまうからです。

(5)お客様の利用目的
 業態を考える上で、何のために店を使うのか(利用シーン)という要素はとても重要な要素です。
お客様にはその店を選ぶ理由があり、その理由こそ客数増の重要な要素なのです。
店の利用目的のなかで、誰のためにお金を使うかという要素は業態を決定するうえでとても重要です。
消費というのは大きくわけて、自分のためにお金を使う場合と人のためにお金を使う場合があります。
自分のためにお金を使う場合は、おしなべて利便性や実用性が重視されます。逆に人のためにお金を使う場合、中身の濃さや相手の評価が重視されます。

(6)予算
 店側からいうと客単価、お客様からすると予算。どんなお客様でも来店前、あるいは、入り口に入った瞬間に「この店はこのくらいの値段かな」と店を査定しています。
この予想した価格より低ければ安かった、予想より高ければ「高かった」という評価になります。
つまり、店作りを通して、「妥当」ないしは「安かった」と思っていただかなければ、リピーターにはなりませんし、お客様は増えません。
 したがって、お客様の利用動機の予算をしっかり理解する必要があるのです。
 多くの人は予算をある程度の幅で考えて店選びをします。 
 特に初回来店時は予算をしっかり考えて店選びをするので、新規客獲得のためにはある程度低い価格を見せる必要があります。
その後、接客など店への満足度で単価はあがり、ある程度の来店を繰り返し、店に対する意識の鮮度感が薄れると予算は低くなる傾向にあります。
 また、一回に消費する額は商圏の広さと密接な関係があるので、この点も含めて理解する必要があります。

(7)お客様の感じる他店との明確な違い
 市場が成熟すると「そこでどのような時間を過ごすか」もお客様の店選びでは重要な要素になります。
それが他店との明確な違いとなります。
例えば、最近のハンバーグチェーンはサラダバーを充実していますが、おかわりをサービスでするよりは自分でするほうが気軽に楽しめるからです。
よく利用する店ですから、いちいちお願いするよりは自分で勝手にとることを望む客層にうけていると言えます。
 明確な違いを考える場合、安易に真似されない要素をいかに考えるかがポイントです。

(8)見込み客を初回来店に結びつける方法
 1990年後半からはじまった生産年齢人口(15歳~64歳の人口)のトータル的な激減で新規客の獲得が困難になりつつあります。
それに伴い、黙っていてもお客様が増えるという時代は終わり、店のコンセプトにあった自然発生的な新規客の獲得が難しくなってきております。
これは、都会でも地方でも共通することです。
 新規客を獲得するには、お店を知るということがないと初回来店をすることはありません。
 店を知るきっかけは、「見て」・「聞いて」・「連れられて」といいますが、その比率は「見て」が90%くらい、「聞いて」が7%くらい、「連れられて」が3%くらいといいます。
 「見て」ご来店いただくためには看板やチラシなどによる自然な店の発見が必要です。
 基本的に目の前を通過している見込み客であれば、利用動機にさえ合致すれば発見すれば来店にたる魅力をあたえておりますので、自然な来店が可能です。
したがって、「うどん」「とんかつ」のような日常食である商品を軸にした場合、立地と看板さえ考えれば新規客が自然に入ってきます。
 ロードサイドにおいては交通手段が自動車なので商圏が広くなり、出店した店の場所付けがよければ、飛躍的な売上を記録できます。
逆に、駅前などの徒歩商圏の日常食の店は商圏が狭い上に来店頻度をあげながら長期営業をすることを考えると店の運営は極めて難しいと言えるでしょう。
 私がよく紹介しますシャーロックホームズ・ジャパンの鈴木雄三社長は「私はロードサイドしかやらない」と言っています。
それは、駅前だと来店頻度をあげないといけなくなるということを直感でわかっているのです。
トリドールがやっている丸亀製麺もロードサイドを主にやっている理由はこの点が大きいです。
 もちろんホームページもどのようにして自然に発見されるかを考えないと新規客の獲得はありません。
そのときにSEO対策を考える必要がありますが、検索キーワードの想定が重要です。例えばうどん屋を営業していて、居酒屋需要をとりたいのに、「町田 うどん屋」のようなキーワードに着目しても意味がありません。
個室がある雰囲気の良いうどん屋であれば「町田 歓迎会」とか「町田 同窓会」のようにお酒を飲む動機で検索されることを想定する必要があるのです。つまり、ホームページ専門業者に任せてもお客様は増えません。
 「見て」来店されるお客様の来店までの無理のない範囲は徒歩なら5分、自動車なら10分くらいです。
それ以上、見込み客を移動させるには、利用動機がかぶる競合店がない場合か、その距離を移動するに足る目的意識が必要です。
今月は開化亭さんを注目の店で紹介いたしますが、この店は典型例です。
 また、新規客を獲得する場合、どれくらいの予算のお客様を狙うかも重要です。
編集後記の吉野家の事例をお読みいただきたいのですが、新規客獲得をする場合、価格ゾーンを一段下げ、従来はターゲットにしていなかったお客様まで広げて考えてみるということは重要です。
そして、来店時の満足度をあげて「ここの店ならもう少しお金を使ってもいいな」と思わせるような信頼を得ます。
これが、お客様のお金を使うことへの教育のはじまりです。
逆に、チラシのような発見媒体を投入するのに、現状来店されている客層しか来ないようでしたら、新規客獲得ができなかったと思ったほうがいいでしょう。

(9)来店されたお客様をグリップする方法
 人口減少でニーズが減って、店が増えて商圏縮小(小商圏化)が進んでおりますので、新規客の獲得が難しいばかりか、初回来店客の再来店も難しくなっています。
競争の激しい東京などの都市部では初回来店客の再来店率が20%をきる勢いだと言われています。
 したがって、初回来店客をまず再来店させる戦略が必要になります。
その後、得意客、贔屓客、自然消滅しやすい来店頻度が低いお客様(この自然消滅しそうなお客様を私はグリップ客と言っています)の三タイプに分岐してゆきます。
この三タイプベ別にアプローチを確実におこないグリップし続けないといけません。
そのため、定期的なDMが重要だと言ってきたわけです。しかし、それだけでは弱いので商品力のある店であれば「マクドナルドの月見バーガーのように季節の顔になる商品を作りなさい」と言っております。そして、その季節の顔を使い瞬間を感じていただき、思い出し来店へ結びつける段階まで深化しています。

大久保一彦の本


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Last updated  2012.03.01 00:17:25


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