カテゴリ:大久保一彦のひとこと情報
白露の連続講座 和食店にみる 評価される料理とは その7
~会報『四方よし通信』2016年6月号より 美味しいという感覚・感情の数値化 1 「うまい」の礎 生存的欲求を満たすおいしさ 満腹中枢の刺激 1-2 満腹中枢の刺激 おいしさに対する期待は人それぞれです。 例えば、食に興味がない人であれば、食べ物の本質的な機能、お腹を満たせば十分です。 そういう人もままおります。 「おいしい」という感情を数値化する上では、このお腹が満たす機能の評価はとても大切だと思っています。食通のかたになればなるほど、軽視されがちですが、人間という動物としての一面もあり、刺激需要においては、理性的なことよりも潜在的な本能が「おいしい」という感覚(正確には多くの場合「うまい」という感覚)に大きな影響を与えていると考えています。したがって、「おいしさ」の数値化において、加点は大きい要素だと言えるでしょう。 食物によるお腹を満たす刺激を、私は“満腹中枢の刺激”を加えると表現しています。 満腹中枢を刺激する方法には、まず、胃袋を急激に満たす(「お腹いっぱい」な状態にする)があります。できれば噛まずに柔らかいものを胃袋に一気に流し込むのが最高ですね。 だから牛丼やラーメンは人気があるんでしょう。 次に、ナトリウムや糖質の摂取による電気的な刺激があげられるでしょう。 ただ、急激な信号を送るには関所になる舌をごまかし体内に送り込まないといけません。 そこでナトリウムであれば味の素のような旨み調味料を加えて、糖なら酸で舌の感じる度合いを大きく減らさせます。もちろん、辛さやサクつぃた食感などによる三叉神経の刺激も加えて、最高の「うまい!」という電気パルスを送るのです。 牛丼、カレー、B級グルメは本当に商品設計がよくできています。 例えば、焼鳥屋のカウンターに座っていると焼き台の職人さんがやたら塩をふっている店はありませんか。実際は塩ではなく、“合わせ塩”です。 これらの特徴を斟酌して、おいしさを数値化すると、胃袋が急激に満たされることに対して+40点、ナトリウムと糖質の摂取に各+20点の加点要素があるとしました。 そして、もうひとつ満腹中枢を刺激する要素に咀嚼による三叉神経の刺激があります。 咀嚼というのは噛むことです。よく噛んで、ゆっくり食べて十分な咀嚼による刺激もおいしさの+20加点があります。ただし、ゆっくり噛んで食事をするというのは生活習慣で、それまでの生活環境で決まります。そのため、後でお話しする食感が重要になります。 大久保一彦の本 【中古】 「行列のできるダントツ飲食店」の秘密 1000店を蘇らせたプロが教える / 大久保 一彦 / 日本実業出版社 [単行本]【宅配便出荷】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2022.09.09 10:07:48
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