カテゴリ:経営者のための連続コラム
雨水の連続講座 “伸びしろ”を伸ばす店舗経営のための チームビルディング
~『四方よし通信』2014年10月号より はじめに このセミナーで何度もお話している人口減少、中でも、働き手を意味する生産年齢人口の激減ですが、これによりまして、サービス業に対する、求人の応募者数が極端に減っております。 いよいよ、人口減少による人手不足が非常に大きな問題となってきたと言えるのではないかと思います。 もちろん、そういう時代ですから、できるアルバイト、パート、社員の採用というのが非常に難しくなってきております。 しかし、その一方で、働き手側から見ると、誰もが納得できる「いいなあ」と思える仕事というのは、極端に少ないと思うのです。 ですので、転職というものを繰り返す人というのは沢山存在します。 最初は仕事にありついただけでもよかったという人であっても、仕事に慣れ、その職場の事情や先行きが見えるようになると、もっといい仕事をしたい、じゃあここではできない、次に移ってみたいと思うでしょう。 運良くいい仕事に就けた、だけど、やってみたらそうでもなかった、だから、もっと違うところに行きたい、そういう風に、人間の欲求は変化するものなのです。しかし、雇われている限りは、そんな理想的な職場に出合うというのは、そうそうありえません。 その一方で、たまたま働いた職場が、自分が持っている可能性――私はこれを“伸びしろ”と言っておりますが――を引き出してくれて、自分が面白いように成長していける環境だったら、労使の対立を超えて、お互いに素晴らしい出会いとなるでしょう。 逆の見方をすれば、人間が成長していける職場環境を十分に提供できれば、おそらく素晴らしい人財と、今後に渡って縁を持つことになるのです。そういう意味で、お互いにとって魅力的な職場を作っていくということは、今後において、非常に重要な課題なのです。 仕事の魅力というと、どうも、私のような高度成長期の人間に言わせると、「給料が高い」というような「待遇が良い」という方向に持ち込みやすいものです。 しかし、「給料が高い」というのは大切なことなのですが、人口増加の拡大経済ではなくなった今日、それは重要なファクターではなくなっております。 つまり、仕事の魅力に対する価値観が変わりつつあるのです。現に、給料を稼ぐために、最近、何かと話題になっている長時間労働などの過酷な労働は、多くの人に嫌がられるでしょう。何より、そこまでお金は求めていない傾向が顕著なのです。 では、お金以上の何を求めているのでしょうか? それは、自分の可能性を引き出してくれる環境や自分のフィールドを作ってくれる環境なのです。 もちろん、世の中には、怠け者もいっぱいいます。 ラクしてほどほどに稼げればいいやという人のことですが、しかし、ちょっと頭を働かせれば、世の中に、そんな“おいしい”仕事などいうものはないわけです。 これからの時代は、より、自分の“伸びしろ”を伸ばし、自分自身を成長させることで、新しいステージに立ち、より活躍の場が広がることを求める傾向が高くなってくることでしょう。 そこで、今月は、未来に向けて、あなたのお店、あるいはあなたの会社に関わった人の可能性を伸ばしてあげて、その人の“伸びしろ”を伸ばすことで、会社が発展する環境について掘り下げたいと思います。 今までは人口が増加している時代が続きましたから、自然にマーケットが伸びていました。 私たちはこのことを当然視し、前提としています。 この前提を持つ者は、マーケット性あるニーズを探して、そのニーズに対応する型にはまったビジネスをやることで、安定、成長できると考えます。 しかし、時は人口減少の時代です。ニーズに対応するビジネスモデルはだいたい出尽くしてしまいました。 したがって、これからの時代は、ニーズがあるから、そのニーズに合わせて成長していくという需要対応型、旧来型のビジネスモデルではなく、新しい方法論を模索する必要があります。 そこで、関わった人の、その人自身の“伸びしろ”を伸ばしてあげることで、その“伸びしろ”分がマーケットを作り出す、換言すれば、人が成長することによって、ドンドン関わる人も増えていって、関わった人が成長することで、そのお店なり、その会社なりが広がって行き拡大するようなビジネスモデルに転換していく必要があります。 私が定義する、これら到来する人口減少時代の拡大型ビジネスのあり方です。 今いる人の“伸びしろ”を伸ばして、それぞれが成長して、その人たちの下に人が増えて、そして、その人たちが“伸びしろ”を伸ばす。 このような無限連鎖をビジネスの中で展開できれば、マーケットの需要に対応する旧来のビジネスモデルのような人口減少の影響は受けません。 人口減少の影響を受けないビジネスモデルを作るということは、ひいては、日本という国に希望を与える、非常に社会性の高いビジネスモデルになると私は考えております。 こういう理由で、私は、関わる人が成長していけるビジネスに転換して行きましょうと提案したいのですが、そのためには何をしなければいけないのか。 今まででしたら、上の方でルールを作って、現場はシステム管理者として、ルールに基づいて秩序を守いく。 あるいは、私たちのようなコンサルタントが業態を開発して、それをある程度実践していただくという風に、マネージャー層、経営層と、運営する人というのが、同じではない、ピラミッド型の経営をしていました。 しかし、これから、私たちコンサルタントあるいは経営者は“伸びしろ”を伸ばすヒントとしてコンテンツを提供はするにせよ、現場の人自身が共有した未来に合わせて、自らの“伸びしろ”を伸ばしながら、現場の精度を高めて形にしていかねばなりません。 こういう関わりに変化できない企業はマーケットを広げていけないでしょう。 これが、関わっている人の“伸びしろ”を伸ばしていくという経営の姿であり、これからの人口激減時代に成長を望むことができる有力なビジネスモデルです。 新しい取り組みですので、色々なことにチャレンジしないといけません。 これから私の方で、「少しこういうことをしたらどうですか?」と提案させていただきますので、その提案を皆さんのお店で当てはめていただき、フィードバックいただければと思います。私は再度、検証していこうと思います。この営みの中でメソッドを構築します。 日本の総人口6000万人を見据えた経営、これを今後展開していく上で、今回は、未来に向けて、未来像を共有して経営していくためのひとつの要素となります「チームビルディング」のお話をしていきます。 今月から、又、新しいテーマになりますが、皆さん、新しい時代に向けて頑張って行きましょう 次回に続く 大久保一彦の本 ![]() 善の循環経営【電子書籍】[ 大久保一彦 ] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2023.02.24 16:46:39
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