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冬の連続講座 値付けのポイント その7
意外と知らない価格のつけかた その2 ~日経レストラン 連載コラム2014年4月分より 価格のつけかた 「キャッシュを増やす価格決定法とは何ぞや」という話しする前に、価格決定法にはどのような方法があるのかを見ていきましょう。 価格の決め方は大きく分けると、かかったコストをベースに価格を決定する原価ベースの価格決定法、お客様がこの価格なら買うという価格ありきで決める需要志向の価格決定法、競争入札で価格を決定する入札による価格決定法があります。 まず、コストベースで決定される価格決定法をみていきましょう。 コストベースで決定されます価格決定法は大きく分けると、かかったコストに欲しい取り分をプラスする方法(コストプラス法)とかかったコストに一定比率をかけたり、コスト比率がある一定になるように計算したりして売価を決定するマークアップ法があります。 まず、コストプラス法をみていきましょう。五反田に『原価バー』という面白い店があります。 来店すると入口で一人1500円を支払います。 店内に入ると、ドリンクやフードは原価で提供されており、キャッシュ・オン・デリバリーでその都度支払うシステムをとっている店です。このようにかかるコストは実費をいただき、ひとりあたりただきたい額をプラスして売価が設定される方法をコストプラス法と言います。飲食店では『原価バー』のようにコストプラス法で売価決定をする飲食店は珍しいと言えるでしょう。 建設業やわれわれコンサルタントはコストプラス法で価格決定しているケースが多いです。 一方、原価率30%にしたい飲食店でしたら、新メニュー開発時に新メニュー、一人前分のかかった食材コストに4をかけます。そうすると25~30%くらいでだいたい管理できます。 これがマークアップ法です。 しかし、原価率が25%ちょっとに設定されていたとしても、お客様が減ってしまって売上をあげられなければ、“とらぬ狸の皮算用”で終わり、設定そのものが意味を為しません。 お客様にとっての魅力は、売り手が負担しているコストと比例関係にはあるわけではありません。むしろ、原価率とは関係がない場合が多いと言えるでしょう。お客様にとって、原価率よりはむしろ、提供されている商品に対して、どれだけ価値があるかが大切で、その感じた価値で価格は決まると言えるでしょう。 さらには、前回もお話ししましたよう競争が激しくなればなるほど価格競争が激しくなり、見込み客が他の売り手と大きな違いを見出さなければ価格は低くせざるを得なくなります。 しかし、他に比べるものが無くて、その商品をあなたから買うしかなければ妥協できる予算の範囲で仕方なくも購入するでしょう。 つまり、高い価格でもお金を出すわけです。 一般的に市場がアーリーステージから急成長に移行することまでは売り手に価格決定があります。そのために、売り手サイドの利益計算が楽な方法―コスト志向で売価が決定されます。 しかし、市場が成熟してしまうと、価格の主導権は買い手に移ります。すると、大きな違いを作り出せない売り手がコストを主体で価格付けをし続けると思わぬ苦戦を強いられるようになるのです。 大久保一彦の本 ![]() 【中古】 なぜか行列のできる飲食店の法則 味・値段・立地は関係ない!/大久保一彦(著者) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2024.01.27 11:12:35
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