カテゴリ:経営者のための連続コラム
冬の連続講座 値付けのポイント その9
高い価格に誘導できないのは設定した価格においしさ落としどころがないからだ その1 ~日経レストラン 連載コラム2014年6月分より 「あんなにネタを大きく切りつけたらおいしくないと思うんでが・・」 それは10年くらい前の話。とある地方で、週末には行列ができる寿司店にご一緒した鮨店を経営する店主がそう言いました。 一見するとたわいのない嘆きにも聞こえなくもないこの疑問ですが、実は、価格決定プロセスにおいての重要な要素が潜んでいます。 今回は“おいしさの落としどころのある売価”についてお話ししましょう。 暗黙の予算 今から15年くらい前の独立したころ都心のおにぎり店のコンサルティングの依頼がありました。 そのおにぎり店は一個250円で設定して販売しておりました。 ふつうのおにぎりよりもむしろ小ぶりなおにぎりはなかなか売れませんでした。 結論を先に言うと、おにぎりには一個100円~120円せいぜい、100円台後半という価格イメージが強くあるからです。 当時の私は「売り方を変えればどんなものでも売れる」と思っていました。しかし、このおにぎり店のフィジビリティチェックをしていて、おにぎりには価格イメージがあり、その価格イメージを翻すことがとても難しいことを認識するようになりました。 この価格イメージが私の著書によく登場する言葉――“暗黙の予算”です。 さて、話を冒頭の寿司店に戻しましょう。北陸にある立ちの寿司店なのですが、回転寿司でみかける客層がたくさんおります。その秘密が今回のテーマおいしさの落としどころのある売価なのです。 今や国民食となった回転寿司店ですが、回転寿司というと税別100円均一のイメージが強くあります。私も定点観測していて思うのは、「100円均一は安いな」ということです。ある程度食べても多くの場合、1000円くらいで済んでしまう。この日常使いできる価格には驚くばかりです。 さて、こちらの寿司店で多くの人が注文している上にぎりが税別3000円です。そんなリーズナブルな回転寿司をさておき、お客様で賑わうのはなぜでしょう。実は、暗黙の予算で食べられるものとは違う、新しい見える化されたおいしさを提供しているからなのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2024.02.05 11:51:11
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