カテゴリ:経営者のための連続コラム
先日、ご紹介を受けたとある老舗ホテルをお手伝いさせていただきました。
あまり売上のないその店では、肉をブロックで買って、 店で切り分けサランラップで一枚ずつ包んで、 また冷凍庫に入れて補完していました。 アイスキューブを作ろうと水を容器に入れて冷凍庫に入れると膨張しますね。 実は、食品も同様で、冷凍するときや解凍するときにマイナス数度の温度を ゆっくり通過すると膨張した水分で細胞膜が壊れ、 味が悪くなってしまうのです。 そこで、生協など冷凍肉を扱う業者は瞬間冷凍をかけて消費者に届けています。 冷凍技術や流通が革新され、ネット販売網も確立された現代、 ネットで簡単にほとんどのものがいい状態で手に入るようになっています。 だから、このような店なら家で食べたほうが品質はいいわけです。 時代は大きく変わったんですね。 この時代の大きな変化をその店の年配の料理人は気づいていないのです。 このような消費者の日常生活のレベルよりも下ではお話になりませんが、 忘年会などのちょっとふんぱつするようなときに、 家庭で簡単に手に入るようではお客様が来なくなることを意味するのです。 例えば、ふく衛門というネット通販を開いてください。 伊万里焼にのせて国産のトラフグをお届けしてくれ人気です。 近江牛を扱うキッチャンをご覧ください。 最高の近江肉を送ってくれます。 これらはみんな私をご贔屓にしていただいているお店なのですが、 とても人気です。 ちょっとした食材しかない飲食店で繁忙期という理由で、 1時間半でラスオーダー、その30分後に追い出される店があります。 しかし、そこそこの値段のためにある程度でお帰りいただかなければなりません。 それなりの空間であったり、旬な店であったりすれば、 お客様も「しかたない」と納得するかもしれません。 しかし、誰かのご自宅と対して変わらない空間でしたら、 通販を間違いなく選ぶでしょう。 これらの通販でひとり5000円も出せば、 レストランではひとり一万円の料理が食べることができますからね。 百貨店に行かなくなったのも、書店に行かなくなったのも、 楽天やアマゾンのほうが品揃えはいいからです。 昔は百貨店ってとても品揃えがいいと思っていましたが、 効率の追求で品揃えが悪くなりました。 私は俗に言う棒タイと言われる蝶ネクタイをしますが、 蝶ネクタイを扱っている店は百貨店の中でも少ないです。 ワインも同じです。 私は年代もののレヴィオール・ラスカーズ(ボルドーのシャトー)や、 最近だと、ペルナン・ロサンという2000年を最後にやめてしまった ブルゴーニュの作りの手のワインを買いますが、楽天で買っています。 私の事務所ではメニューブックの表紙を自作しますから、 その材料のようにそこの店で見ないと買うことができないものでしたら足を運びますが、 品番が決まれば通販で探して買ってしまいます。 つまり、感動していただく前に、 店まで足を運んでいただかねばならないわけで、 そこに行かないできない体験が無ければ、お店に来る理由すらないのです。 時代に合わせて常にそこにいかないと体験できないものを提供することも 感動の原資となるのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.07.20 00:25:38
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