カテゴリ:経営者のための連続コラム
さて、高級店でもバイキングを導入して人気の店があります。
あなたは、五〇〇〇円以上のランチと聞いてどう思いますか? 「高いな……」 「そんな店、流行るわけがない……」 でも、こんな価格帯でも、予約をとるのがなかなかとれない状態の続いているレストランがあります。 しかも、女性に絶大になる人気を誇るレストラン。 それが、新宿のパークハイアットにある「ニューヨークグリル」です。 「ニューヨークグリル」と聞いて、「ああ、あそこか」と思った方も多いと思います。 もう、10年以上も人気を誇っているのです。 最新のホームページの情報によると、いちばん安いランチでも、6200円。しかも、消費税、サービス料別途。 いくら都会の真ん中だとはいえ、常に満席なのは何か秘密があるはずです。 「ニューヨークグリル」は、新宿副都心にあるパークハイアットホテルの52階にあります。 ダイヤモンドを散りばめたような夜景ばかりではなく、昼間の眺望も実にすばらしいレストランです。でも、新宿にはこのような環境を備えたレストランは他にもたくさんありますから、眺望が原因だとしたら、これほど人気にはならないはずです。 そこで、違う部分に目を向けると―― まず、店内の雰囲気ですが、天井が非常に高く、モダン。入り口で聞こえるピアノ音が非日常のゴージャスな雰囲気を引き立てています。 店内はオープンキッチンです。 野菜や果物がディスプレイされ、野菜や果物といえども、どこになにを置くか、設計段階から決まっているそうです。 そんな細部にもこだわりが行き届いているのです。 しかも、会計が終わった後は、「なんか、安かったなあ」と感じさせてくれる。 その秘密は、バイキングにあると思います。 バイキングというと、大衆的な店のような印象がありますから、ここではブッフェと言い代えておきましょう。 ブッフェが、実は女性に人気な部分だと私は考えているのです。 「ニューヨークグリル」では前菜をブッフェにし、お好みの前菜をメインが出てくるまで好きなだけ選べるようにしてあります。 人によって満腹感は異なります。 体格のみならず、日常的な生活環境によって違ってくる問題です。 たとえば、早食いの人は量を必要としますし、ふだんから薄味を心がけている人は、少しずつ、ゆっくりとお召し上がりになります。この差が、会計時に「高かった」と思わせてしまう原因なんです。 しかし、ブッフェにすることで、このような満腹度からくる不満を解消したのです。 併せて、大きな店ですから、あれだけの客数の料理をこなすのは大変なことです。 オーダーが入ってから料理を作る本来のやり方では提供までに時間がかかり、「サービスが悪い」と思われてしまうこともありますが、その不満も回避することができます。 前菜に冷たいものが多いのは、少しでも料理の提供を早くするという目的があります。前菜を出すタイミングなどに気をとられ、いいサービスができないことがよくあります。 前菜をブッフェにすることで、そんな余計なことを考えず、サービスに集中できるのです。 そして、いろいろな種類がありますから、それを見ているだけでも楽しくなります。 この心のワクワク感が、お客さんの満足度を高めます。 女性客は「何を選ぼうか」ととても贅沢な想像を働かせ、食卓で楽しみます。 頃合を見て、優雅にスタッフ近づいてきてこう言います。 「こちらのお皿をお下げしてもよろしいですか?」 まるで映画のワンシーンのように時間が流れ、その優雅な時間を感じているとメインの料理がやってきます。 「わぁ!」 テーブルにメインが提供されると、今までのブッフェの幕を閉じ、高級レストランのテーブルに移ります。 「なんて素敵な時間なんでしょう」 だでもが、そう思っているに違いありません。 しかし、ニューヨークグリルのランチはそれで終わりません。 「お客様、デザートのお席を眺めの良いあちらのお席のほうに用意してございます。いかがでしょうか?」 「ニューヨークグリル」はさりげなくダメ押しをするのです。 夜はバーとなるスペースで、食後のデザートを楽しめるのです。 それも、「いくらでもゆっくりしてください」というメッセージが折り込まれたブッフェのスタイルで、です。 すでに、前菜とメインでお腹は満足なのですが、思わず食べてしまいます。そして、ソファーでゆったりすることもできるのです。午後の日差しと素敵な風景が夢見午後地にしてくれます。 ここまで充実していると、「なんと安いランチだろう」と思うでしょう。 グリルというと、「肉」というイメージがあり、男性的なイメージがあると思います。しかし、昼の「ニューヨークグリル」が女性に支持されているのは、実は、優雅な時間を何の気兼ねなくすごせるからです。 夜の「ニューヨークグリル」は、どちらかというと記念日に男性が女性を連れてくる店になっているんじゃないでしょうか? みなさんも、ぜひ、この優雅な時間を体験してみてください。ただし、3ヶ月待ちのようですが・・・ 大久保一彦の本 【送料無料】小さな飲食店が成功するための30の教え お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.08.23 00:15:06
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