カテゴリ:すし協同研究所
一本釣の鮪、延縄の鮪、定置網の鮪
クロマグロはどんな餌を食べたで味わいが大きく変わります。 厳寒の大間の一本釣りの中でも、内蔵が膨れた太ったスルメイカを食べたシビマグロはは熟成すると良い香りが出ます。 一般に熟成は旨みに目が行きがちですが、最高のシビマグロにおいては、うまく熟成した時に発する餌に由来する香りが一番の特徴と言えるでしょう。 冒頭でお話した一本釣りのシビマグロの中でも、焼けがなく延縄の肉質のようなもちもちしたシビマグロを熟成すると、大変、素晴らしい香りを楽しむことができます。 一本釣りは身が焼けてしまう難点があるものの、どんな餌を食べているか特定できるため、肉質を見て買うことができるので優れています。 太った烏賊を食べた鮪は鉄を感じる血潮の香りがする赤身と爽やかな酸味と血潮の香りで何と言えない中トロを楽しむことができます。 続いて良い餌が鯖でしょう。 鰯の群れを狙らったクロマグロはいくら熟成しても香りが出ないので、良くありません。 一方、延縄は縄の長さが1キロにも及ぶため、いくつもの鮪の群れの先頭の鮪を捕らえることになります。 鮪の集団が狙っている餌の群れが異なるため、延縄にかかる鮪の狙う餌が異なることになります。 そのため、延縄の鮪は肉質は良いが、個体差は大きくなります。 市場に上場されたシビマグロとなると、胃袋の餌はわかりませんから、鮪の仲卸の目利きに依存するしかないのです。 これから、産地も鮪を割った時に何を食べたかを明確にして流通させればより価値を評価されると思われます。 延縄でも、立春のころに流通する下田の延縄は、烏賊やその烏賊を捕捉する金目鯛を食べているので、やや動物的な印象もありますが優れています。 定置網にかかるクロマグロも同じ餌を狙って網にかかっている群れなので、良し悪しは判断しやすいと言えます。 ちなみに、養殖の場合、死に餌を使うと養殖独特の臭さにつながるわけです。 本コラムの索引はこちらです。 本日のおすすめ、サイドリーディングにどうぞ 【中古】 寿司の教科書 決定版 旬の時期・味・産地を完全解説 e‐MOOK/実用書(その他) 【中古】afb ◆◆すし技術教科書 江戸前ずし編 / 全国すし商環境衛生同 / 旭屋出版 ◆◆すし技術教科書 関西ずし編 / 荒木信次/編著 / 旭屋出版 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.03.07 08:36:32
[すし協同研究所] カテゴリの最新記事
|
|