GW連続講座 価値観経営を成功させるための価格の決め方 その13
~会報四方よし通信2013年7月号より 2-2-2 市場のライフサイクルと需要志向の価格決定 実は、消費者の価格イメージは、市場のライフサイクサイクルの段階で大きく異なりますので、各段階における価格決定方法をそれぞれみていきましょう。 ①導入段階 新商品を市場に投入する場合、付加価値の高い商品をやや高め、あるいは高めの価格をつけてアッパーのお客様を狙う場合の“上澄み戦略(スキミング・プライシング)と誰にでも手がでる価格をつけて速やかなる市場浸透を狙う“浸透戦略(ペネトレーション・プライシング)のふたつに分かれます。 上澄み戦略を行うには、ブランドイメージなどの自社の強み、あるいは容易に真似され競合が出現しない環境の可否などを考慮しなければなりません。 ②成長発展期 供給よりも需要が上回っている時期は戦略のうまい下手に関わらずそれなりの結果がでるでしょう。 しかし、この時期にとった戦略が価格イメージを形成するため、市場成熟後に大きな影響を与えます。 成長発展期の価格決定はふたつの方向に分かれます。 ひとつは拡大路線の価格決定で、もうひとつは成熟したあとのことを意識したアイデンティティ確立路線の価格決定です。 商品の拡販をある程度考える場合、ポピュラー・プライス(多くの消費者が購買可能な価格)である必要があります。ポピュラープライスは、上澄み戦略をとる店の70%以下の価格、できればサイゼリアのように50%以下の価格が理想です。 したがって、機械化で生産性を上げるなり、代替えの食材を使って原料費を落とすなりなりして、ポピュラープライスを実現します。 商品の必要な便益の本質を見極め“削る技術”が要求されます。そう意味で、商品開発時の工業化プロセスに長けた人財またはブレインが必要になります。 アイデンティティ確立路線は、ポピュラー路線と反対で高品質を訴求します。したがって、ポピュラー路線の1.4倍以上のできるだけ高い価格をつけます。 口コミを増やす商品設計が必要になりますので、やはり商品開発に長けた人財またはブレインが必要です。また、広告活動を能動的に行いブランディングしていきます。 ③成熟期、衰退期 成熟期になると需要よりも供給者のほうが多くなり、衰退期となるとオーバーストアの状態になります。また、ここまでとってきた価格イメージが大きく影響します。 成熟期、衰退期の価格戦略は大きく分けると、牛丼のように生活必需品として定着した場合は、利用頻度をあげる商品設計の一環として誰よりも低い売価をつける方法(ナンバーワン戦略)と、アイデンティティを確立して付加価値を提供して、高価格をつける方法(オンリーワン戦略)のふたつに分かれます。 多くの店がデフレの影響を受けるのは、これまでの価格イメージが大きな影響を与える上に、“付加価値をつけること”は高度な経営ノウハウであり、戦略的に値下げを行う店があふれるとその波に乗るしか選択肢が無くなるためです。 大久保一彦の本 【中古】 「現場力」で勝つ! 飲食店繁盛の新セオリー/大久保一彦【著】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2024.05.13 16:41:37
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