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“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

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2010.07.17
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テーマ:旅先にて(468)
 日本の戦後は大量出店時代でした。
大型のスーパーや駅ビル、百貨店、あるいは飲食店。
真新しいものが次々とオープンしました。
これらの真新しい情報はテレビのようなマスメディアにもその都度取り上げられ、消費者は新しいものへの刺激に興味をました。
実際、多くの消費者は次々と登場する真新しいものに衝撃を受けたはずです。
刺激が強かったのでしょうか、店がオープンすると毎日、毎日訪れるお客様も多数いました。バブル崩壊まで、世の中全体が真新しい刺激に向かっていました。
バブルが崩壊して真新しいものへの消費の機運がさがり、
競争が激しくなると、それでも新しい刺激を求ました。
その新しい刺激とは斬新な価格でした。

 「衝撃的なプライス!」
「スーツ9割引!」
「玉子1P10円!」
折込チラシではこのような宣伝が闊歩しました。

 「こんな値段でこれが買えるの!」
消費者も今まで高くて手がとどかなった新しいものが買えるようになり、
新しいことを経験できるようになりましたので、
この劇的な価格にはやはり多くの消費者が衝撃を受けたはずです。

 そして、その刺激にある意味、大きな感動を得たのです。

 このように2005年くらいまでの時代は、このような大きな感動が重視されてきました。
当然、新規客に焦点をあてた市場全体の消費者に大きな感動を与えるわかりやすいやりかたが主流だったように思います。

 大きな感動の時代の経営はよくバケツに例えられました。

 「まず、バケツは大きくて、大きな穴があいていないほうがいい。
そして、穴はなるべくあいてなければいい」

 集客メディアが大きくなればなるほど、お客様という水は多くなります。
バケツから溢れるとまず売上に結びつきません。
見込み客はしかたなく行列するかもしれませんが、
店が増えればその店に行かなくなります。
また、見た目は衝撃的でも中身のないものであったり、
運営に問題があったりすればバケツに大きな穴が空いている状態であり、
新規客の供給が減少するとすぐにお客様が減ってしまいます。

 多くの企業では、不満を減らすべく、
マニュアル化して教育訓練でサービスの差別化をはかっていきました。
新規客が減り始め、チラシなどの集客の状況が悪くなると、
細かな部分までマニュアルかして、サービス力アップを目論みました。
いずれにせよ、お客様という水が流れ出ないように、
バケツの穴をふさぐ必要があるのです。

 小さな感動の取り扱いは大きな感動とはちがいます。
例えて言えば、このバケツに入った水を使って、
お客様に接近して、
お客様の心にあるコップに水をスポイトで一滴、一滴注ぐ作業のようなものです。
一滴、一滴スポイトで注ぐと、いずれは水が溢れます。
このときに、しみじみとした小さな感動を覚えるのです。

したがって、大きな感動とは違い、
消費者の集団にわかりやすい大きな感動になるものを差し出すのではなく、
それぞれのお客様にひとりひとりに地道にキャッチボール行う必要があります。

 そして、最大の違いは、人間関係が築かれていなければ気づかない些細なことで
いいのです。決して、特別なことは要りません。
家族や親しい友人にするように、相手のことを思いやって接すればいいのです。

例えば、カフェでしたらこんなやりとりをするでしょう。
今までのカフェだったら、豪華な内容や斬新なメニューが必要でしたが、
お客様を増やす店は(図1-2)のような些細なやりとりで十分なのです。

(図1-2)
スタッフ :(笑顔で)こんにちは大久保さん。お元気ですか?
私: はい、裕美ちゃんも元気?
スタッフ:  元気ですよ。毎日楽しいですからね。
      さっき、裏庭の菜園のカブをとってきたので、
      サラダの入ったメニュー注文してくださいね。
私: ありがとう

(食後)
スタッフ: いかがでしたか?
私: カブ甘いね。採れたては違うね。
スタッフ: そうなんですよ。だから、自家菜園のできる店を探したんですよ。
私: また来るね。ありがとう。
スタッフ: ありがとうございます。また、よってください。

(その数日後)
スタッフ: (やっぱり笑顔で)こんにちは!今日は少し遅めの時間ですね。
私: ちょっと、来客があってね。
スタッフ: 私のお店もちょっと忙しかったんですよ。
私: じゃあ、ちょうど良かった。
スタッフ: 今日もランチですね。ちょっと、お待ちください。裏からハーブとってきます。
私: ありがとう。よろしくね。

 よくお客様に合わせると言います。
小さな感動をひきおこすにはお客様に合わせることが大切だからです。
そのためには相手のころをよく知って、記憶しないといけません。

 家族や親しい友人に対しては長年の付き合いで相手のことを知っています。
だから、どんなことをすれば喜ぶのかがわかっています。
 しかし、お客様となると、会話や接触を重ねて地道に相手のことを知らないといけません。
そのために、上記のようなさりげないやりとりの積み重ねが重要になるわけです。
お店のスッタフにとってはたくさんのお客さんなんですが、お客様にとっては、いつもいるひとりのスタッフなのです。このことを忘れてはいけません。
だからこそ、さりげない会話をして記憶を蓄積していかないといないのです。

 相手のことがよくわかると、相手の価値観の違いによって、
説明のしかたや、接しかたが変わり自然にお客様それぞれに合わせることになります。
結果として、そのお客様にとって良いサービスにつながるのです。
それが小さな感動につながるのです。





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Last updated  2010.07.17 17:34:47


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