6741715 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2010.07.17
XML
 「ちょっと面白い寿司屋があるんですよ」金沢の私の友人が超繁盛寿司店の
松の」に連れて行ってくれました。
店の前に立ち、その外観はなかなか雰囲気のよさそうな寿司屋です。
 ガラリ戸を開けて、中に入ると、「ちょっといい寿司屋に入ったな」という印象です。

 しかし、私のいきつけの高級店とは光景がちょっと違っていました。
ほとんどが若いお客さんなのです。私や私の友人はかなり年齢層としては高めです。

「よおぅ」オヤジさんは同業者で顔なじみの友人とかるく挨拶し席につきました。

 辺鄙な場所にも関らず、とても賑わっており、オヤジさんは「ごめん、ちょっと待っててね」と一声かけてきました。

 「何で、こんな場所でこんなに流行るんだろう」私は考えていました。
 カウンターの上にあるお品書きには2100円、3150円、4200円と
松竹梅のメニューが書いてありました。
 「がってん寿司」や「銚子丸」のように値段に段階のある回転寿司チェーンの
客単価(ひとりあたりの使う金額)が1800円くらいですから、ちょっと高めです。
私はあれこれ考えていました。

 オヤジさんは軽快に何かをつぶやきながら、手を動かします。
そして、となりの三人組のお客様の目の前にカニの軍艦がおかれました。
「どーん!」といった感じでしょうか、軍艦にのったカニはゆうに6本はありました。

 いよいよ私たちの順番になり、「何にします?」とオヤジさんが聞いてきたので、
友人が上寿司3150円を注文しました。

 まず、真鯛が出されました。
その真鯛は明治の板チョコを半分に割ったような大きさ
(ちょと大げさかもしれませんが)です。
その真鯛は新鮮なので固くて、もごもごします。なかなか噛み切れません。
二つ目に提供された平目も、その次の鰤も同じように大きな切り身がのっていました。

 私は「そうか!あのパターンか」私は大分の繁盛店「錦寿司」の
大将を思い出していました。
このやりかたはデカネタというカテゴリーで一時この業界では大流行しました。
実は、このデカネタのような、わかりやすいやりかたが序章でお話しました大きな感動です。

 一時期流行したというのは、ただネタがでかいだけでは、
いずれはお客様のこの大きな感動になれ、最終的には自分の好みの店に納まり、
来なくなるからです。多くの店はこのように消滅したのです。

 後のセミナーでじっくりお話をしますが、日本の外食産業は成熟期に入りました。
市場が成長しているならば、次々に新規客が訪れます。
新規客が主体であるから、大きな感動が重要です。
そのために、見た目にわかりやすいことが重要です。
 しかし、大きな感動は劣化します。
いずれは興味がなくなります。
あんなに多くの人が通っていた派手なサービスが消えたのは飽きなんです。

 では、なぜ、この松のはお客様に支持されているのでしょうか?
それが、深さです。

 深さとはぱっと見では店のやっていることが見えず、
「(何だかわからないが)また行きたい」と思う要素です。
この深さが「好きだ」「この店いいな」と感じされる原資になります。
その深さは、店が与えて行くものなのですが、
お客様自身の知識、経験の蓄積から生じます。
つまり、お客様の知識、経験の蓄積が小さな感動の原資となります。
そのために、店側には知識、経験や技術の蓄積が必要になります。
 いわば、お客様にお店側の知識、経験や技術を無理のないようにひとつひとつ
手渡します。
そして、お客様自身に知識、経験が蓄積していきます。
その知識や経験などを受け取ったときに小さな感動が芽生えるのです。

 この松ので待っているときにとなりのカップルに「これ冷めちゃったから」と
玉子焼きをサービスしました。お腹の加減をみてサービスすることは
すし屋でよくあるのですが、この松のはそうではありませんでした。

 私たちの寿司のコースも最後になりかけたころ巨大な玉子焼きの握りが
熱々で出てきました。
「こんなに忙しい店なのに、玉子を焼くために一人つけている!」
私は小さな感動を覚えました。
つまり、サービスで出した玉子焼きは本当に冷えてしまったからだったのです。
多くの店は忙しいという理由で玉子は焼いた既製品を買うでしょう。
せいぜい、開店前に焼いておきます。
しかし、この松のはお客様のために、その都度焼くのです。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2010.07.18 01:12:07


PR

Freepage List

Profile

四方よし通信

四方よし通信

Calendar

Archives

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

【お台場】そじ坊で… New! TOMITさん

プロのつぶやき1267… 丁寧な暮らしさかもとこーひーさん

寿司ネタ♪ てくてく7281さん

超高効率作物とは! 食の匠のお助けまんさん

食べ歩き紀 ByeByeさん
竹田陽一ランチェス… ★竹田陽一ランチェスター 東京・西村のNo.1経営・裏のブログさん
釣って満腹! ~ボ… 秀龍さん
うまい営業・へたな… なにわの進藤さん
●Hokkaido & Travel … wind0625さん
HACCPコンサルと美味… HACCP加藤さん

Category

大久保一彦のひとこと情報

(1839)

ワイン会、フードなど大久保の教室

(141)

大久保一彦おすすめのおいしい店の情報

(214)

大久保一彦の商人のための情報

(171)

おいしい料理情報

(84)

食を考える

(73)

雑誌などメディア出演

(27)

大久保一彦が見たエンターテイメント

(34)

愛犬日記

(51)

(162)

よっしー

(97)

よっしーパート2

(112)

よっしーパート3

(179)

よっしーパート4(2010年3月17日以降)

(375)

よっち&こーちゃん

(369)

海外視察

(102)

カリフォルニアクイジーヌ

(5)

フランスの店

(30)

ジェームズオオクボセレクション【怪人のいる店】

(9)

世界のベストレストラン&ホテル100

(78)

世界のベストレストラン更新前の記事

(229)

大久保一彦の二つ星と三つ星の間

(279)

大久保一彦的二つ星のレストラン&ホテル

(222)

大久保一彦の二つ星西日本

(233)

大久保一彦の二つ星ワールド

(22)

大久保一彦の一つ星の店、ホテル

(267)

大久保の一つ星(愛知より西)

(241)

大久保一彦の一つ星の店、ホテル(海外編)

(22)

北海道のうまい店

(72)

東北のうまい店

(41)

関東のうまい店

(133)

東京のうまい店

(269)

目白・雑司が谷界隈の店

(27)

甲信越と東海地方のうまい店

(140)

北陸のうまい店

(77)

関西のおすすめ

(159)

四国と山陰、中国地方のうまい店

(75)

九州のうまい店

(101)

沖縄のうまい店

(28)

スイーツ研究所

(231)

Cafe研究所

(84)

カレー・スパイスの研究所

(4)

すし協同研究所

(38)

すし協同研究所・現地勉強会

(121)

会員向け日本料理研究会

(21)

魚アカデミー

(278)

鮨行天

(56)

『ラ・フィネス』『ミチノ・ル・トゥールビヨン』勉強会議事録

(32)

フランス料理店経営研究室

(33)

蕎麦店開業協同研究所

(70)

料理の技法や食の知識

(2)

ジェームズオオクボ的視点で選んだ心に残るあの店のあの料理(名物料理百選)

(19)

各地名産品及び各地名物料理

(176)

大久保一彦の野草のワークショップ

(30)

産地・生産者訪問

(127)

今日の大久保一彦のしごと

(1100)

経営者のための連続コラム

(1657)

飲食店は人づくり

(4)

修行について コーチの予備軍の方へ

(8)

これから開業の方向けコラム

(290)

飲食店開業講座

(65)

子供たちのためにコラム

(42)

偉人の言葉、今日の親父からの言葉

(28)

“経営思想家”大久保一彦の次の世代への哲学

(51)

補足◆【いつも予約でいっぱいの「評価の高い飲食店」は何をしているのか】補足◆解説

(11)

残念ながらブログ掲載後閉店してしまったお店

(158)

ジェームズオオクボのホテル&お宿見聞録

(276)

長山一夫器美術館(解説付き)

(107)

会員・塾生訪問

(122)

何でも食材ランキング(ブログ掘り下げ編)

(2)

ジェームズ昆虫記&ジェームズ植物記

(471)

中国料理研究

(61)

BAR研究

(1)

外食調査録

(78)

業態研究

(80)

ジェームズオオクボ書店

(12)

惣菜・弁当・食品売場研究

(362)

寿司盛り合せ研究

(66)

商品研究・料理研究

(820)

素材・材料開発研究

(38)

焼肉店訪問

(8)

ラーメン研究

(2)

スパイスカレー店・インド料理店・ネパール料理店研究

(29)

別冊四方よし通信

(7)

© Rakuten Group, Inc.