ミチノ・ル・トゥールビヨン @大阪市福島 ~28周年を迎える福島に住む怪人のオタクフレンチ
白露の頃、“飲食店の勉強代行業の大久保一彦”は大阪に出没しております。 28周年ということで、怪人様より記念メニューの案内が届いておりますので、フレンチの勉強をしたいと思います。 今日のテーマは「混乱と調和」で、料理の攻略のための解説付きです。 まずはドラピエを飲みながら、「魚貝類のコンソメゼリーとガスパチョ オマール海老とリコリスのクリーム」です。 フィンランドの「世界一まずいお菓子」と呼ばれている『サルミアッキ』。 この主成分が甘草(リコリス)ですね。 道野シェフは、なぜそんなにまずいものがずっと食べ続けられているのか、と疑問をもっていたそうです。 その解として、この料理を考案したそうです。 甘草の味と匂いには持続性があり、その他の要素がうまく噛み合うと、ふと美味しいと感じてしまう瞬間があるという現象を活用した料理です。 この料理には混乱が調和する瞬間があります。 次の料理に合わせるワイン・・・ オリーブ豚のポトフ仕立て 完熟の南高梅で梅干しを作ったときに、道野シェフは底に沈んでいる物体がとても魅力的に見え考案したのがこの料理だそうです。 梅酢を希釈し、脂肪の具合がほどよいオリーブ豚のショルダーを三日漬け込み、ポトフ仕立てにしています。フレンチなのか和風なのか、この解が混乱と調和だそうです。 原さんのワインのペアリングがたいへん秀逸で、途中で発酵バターを入れるとワイン味わいも大きく変わりました。 鼈と昆布〆した鶏ササミのナバラン 覇王別姫 先日訪れた博多の四川の怪人、荻野亮平大将が住む『四川料理 巴蜀(はしょく)』で「覇王別姫」と称する料理に出会ったそうです。鼈と別は「ビエ」と発音し、鶏と姫は「ジー」とそれぞれ同じ発音なことから、鼈と鶏を使った料理に「覇王別姫」と呼ばれるものがあるそうです。これに荻野大将は「覇王花」と呼ばれるドラゴンフルーツの花を加えた料理を考案するのを見て、“混乱”が始まったそうです。 鼈のナバランに昆布〆した鶏のササミを加えています。直感的な印象としては沖縄のソーキそばにのっているとろとろに炊いた軟骨のようです。ダイスにカットしたドラゴンフルーツと幸水梨を添えて、これがとても絶妙な組み合わせとなっています。 あわせるワインは・・ 次の料理にあわせて・・・ 樽が効いています。 これがコーヒーを使った次の料理となかなかいい組み合わせでした。 真魚鰹とサザエのソテー サザエの肝とコーヒーのアイヨリ 苦さをおいしさに昇華することを企て考案した料理だそうです。 真魚鰹はエスプレッソコーヒーのソースで照り焼き風にしてあり、ふわっとした食感です。 本来はブイヤベースに添えるニンニクマヨネーズのアイヨリは、すりつぶしたサザエの肝とコーヒーで仕上げてあり、苦いです。魚にちょっとだけつけて食べます。 口直し メインにあわせるワインは・・ あんず茸とフォアグラのリゾットを詰めた鳩 詰め物はシェフの十八番、そこに懐かしの蜂蜜でマリネしたフォアグラのソテーが添えてあります。 正統派の料理で混乱を収束させるのが狙いだそうです。 無花果のローストとスパイシーなセミフレッド セミフレッドとは攪拌せずに固めたアイスクリームで、インド大好きなマダムお得意のスパイスたっぷりです。 巨峰のデグリネゾン デスリネゾンとは、ひとつの食材を何通りもの調理法で仕上げ、それを一つの皿に盛り込むことで、私の大好きなアプローチです。巨峰のシャーベット、クラフィティ(焼き菓子)、フレッシュ、葡萄色のマカロン、小さなチーズケーキを添えてます。 すばらしいです。 ハーブティ 私はオペラを見るときは、まず、発売されているDVDを何度も見てから望みます。 モダニズムに目覚めたアーティストと呼ばれる料理人は献立を料理名も素材のみのにしていることが多いです。 お客様の想像力や意外性を組み合わせているのでしょう。 へそ曲がりな見方をすれば、ネタバレになるとそれ以上のものがないということかもしれません。 だから、写真撮影を禁ずるのかもしれません。 食の大衆化が情報の大衆化で、誰もが参加できる時代、情報の制御は料理人の課題なのでしょう。 しかし、道野シェフの料理は解説があって、より楽しむことができる奥深いものなのかもしれませんね。 ミチノ・ル・トゥールビヨン 大阪府大阪市福島区福島6-9-11 神林堂ビル 1F 電話 06-6451-6566 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2024.05.06 17:43:57
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