テーマ:おいしい【お鮨】めぐり(344)
カテゴリ:すし協同研究所
ふわっとした春子
行天氏が握る春子はふっくらしていて、旨みがのって、甘さもあります。 一方、春子というと昆布〆にして提供する店も多く、身がしまっていることが多いです。 今のように流通が発達する前、特に小魚は処理をしっかりして、ロスにすることなく活用するという意味があったと思います。本来、振り塩や昆布〆のような脱水処理をしたわけで、脱臭と保存の狙いがありました。 しかし、流通が発達して、冷蔵管理が良い今日、仕入れる小魚の状態も良く、鮨の技術はおいしさの追求に向けることができるようになったわけです。 魚個性を殺さず、おいしさを引き出す脱臭のための脱水を行えばいいわけで、攻める鮨職人はどこまで脱水するかを考えます。 そして、最小限の脱水できあがったのが『鮨行天』のふわっとした春子です。 常に研究し続けたからこそ、こういう春子が提供できるのです。 そして皮目の固さの対策で包丁を多く入れる職人も多いですが、包丁を十字にだけ入れて、酢橘を搾ります。柑橘は爽やかな賦香作用だけでなく、皮を柔らかくして食味を整える作用があるのです。 本コラムの索引はこちらです。 本コラムのサイドリーディングにお使いください! ◆◆すし技術教科書 江戸前ずし編 / 全国すし商環境衛生同 / 旭屋出版 大久保一彦の本もよろしくお願いします。 2018年12月発売 いつも予約でいっぱいの「評価の高い飲食店」は何をしているのか [ 大久保 一彦 ] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019.01.18 07:52:53
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