新・座頭市 第29話「終わりなき旅路」
声優になろうかなあ。新・座頭市 第29話「終わりなき旅路」脚本 新藤兼人・中村努 監督 森一生すっかり髪の毛と髭が伸びて見た目がキリストみたいになってます。土砂降りの中、市はケチなおっさん(遠藤太津朗)が経営する一文宿になんかと泊まることができた。ケチなのでめしはセルフサービス。そのため市の俺ジナルクッキングでボヤ騒ぎ。宿には浪人・佐倉市之進(竹脇無我)とひさよの夫婦が泊まっていた。なんだか訳ありっぽいよ。次の日も土砂降り。市之進は何もしていない。代わりにひさよが物乞いをしている。「夫は侍としての体面があるから」と言うがそれ以上の理由は話そうとしない。市は賭場で元医者の竹庵(フジタク)という坊主と知り合う。賭場のオーナーでやくざの親分・荒磯の甚吉(小池朝雄)が腹痛で苦しんでいると聞きつけ、負けた分の棒引きを条件に甚吉が住む人里離れた小屋まで往診、市とのダブル治療を行う。竹庵は以前、市之進を治したことがあった。治療代が無いと言うので支払いを求めなかったが、市之進は妻のひさよの操で支払うと申し出た。ひさよも合意のことだったが、竹庵は手を出さず一晩が過ぎた。どうしてこんなことをしているのか?竹庵が問い質しても答えようとしない。このことがきっかけで竹庵は医者を辞め、市之進から治療代を払わせるため坊主になってつけ回っているという。そして今日も取り立てるが、市之進は金ができるまで一切払うつもり無しと拒否。「そりゃまた勝手な理屈ですなあ。私はあなたの命の恩人ですよ」「私はあの時、死んでしまったほうが良かったのかもしれない」。そこへひさよが物乞いから帰ってくる。大雨のため稼ぎが悪く、隣村まで行っていたと言う。さすがの市も自分は稼ごうとしない市之進に皮肉を言うが「按摩如きに侍の胸中が分かって堪るまい」と一蹴される。しかし市、竹庵、ケチなおっさんのトークから「荒磯の甚吉」の特徴を聞いて急に色めき立つと小屋まで案内しろと言い出す。「荒磯の甚吉」は市之進の父親の仇、堀田甚左衛門だった。「お父上が討たれたのは・・・私にも言い分があるが斬ったのは確かに私です。陣上に勝負をいたしましょう」。ただし勝負は食後と言って市と竹庵にもめしを勧める。「で、敵討ちの元っていったい何なんす?」市の素朴な問いに甚左衛門は衝撃の真相を語る。「それがつまらん話でな」。碁を打っていた時「待て」「待たぬ」で喧嘩になり「とうとう刀を抜いてしまった」。そのおかげで市之進のお家は取り潰し、土地も召し上げられ、認められたのは仇討ちだけ。甚左衛門を討てば元の勘定方へ復職できる。竹庵に治療代も払える。しかし甚左衛門はトンズラをかます。竹庵は真相を知ってアホらしくなる。「しらけちゃうんだよなあ・・・そんなことで大事な奥さんの操をおもちゃにしていいんですかねえ?あんたクズ人間だよ」。そう言って市とも別れを告げる。市も二人で幸せになることを考えるよう諭すが「お前に何が分かる。これしか生きようが無いじゃないか。私はこれが幸せなんだ」と考えを変えるつもりはない。その後、甚左衛門は市に親友の息子を斬るつもりはなかった、だから逃げるほうが良いと思って逃げ続けたと告白する。市之進のことは小さい頃から知っていた。そんなこんなで市に市之進のことを託す。しかし親分が狙われていると知った甚左衛門の子分たちが、市之進を誘き出し、返り討ちにしてしまう。そのことを聞いた甚左衛門は「なんてことをしてくれたんだ!なんてことを・・・!」と落胆する。そこで一文宿に乗り込むとわざとひさよに勝負を挑む。斬りかかる甚左衛門を市が一斬り、ひさよがとどめを刺す。「市つあん、これでいい。俺はホッとしたよ」。そして最後のカウンセリング。ひさよはもはや故郷には帰れない。「これからどうすればいいのでしょう?」「乞食を続けなさい。どこの土地へ行ったってどっかと土の上に座ってられるんだ。嫌なことはありませんよ、お行きなさい」「あなたと一緒に行くわけにはいきせんか?」。市は黙って首を横に振るとおひさと別れる。そして襲撃してきた甚左衛門の子分たちを皆殺しにすると新たな旅に出る。お・わ・り