新必殺からくり人 第13話「東海道五十三次殺し旅 京都」
俺にもやらせろ! 星桃次郎 新必殺からくり人 第13話「東海道五十三次殺し旅 京都」京に到着したお艶一行。最後に残った「三条大橋」をあぶるが、赤くなる代わりに三条大橋が崩れる。荷物にあったもう一枚の「三条大橋」をあぶると今度は橋の上に佇む男が赤く浮かび出る。こちらが正しい依頼のようだが、広重が間違ってお艶たちに渡したのか?「この男、行き交う京の三条の橋で唯一人。思い余って身投げでもするように佇んでおります。私がこの橋を描く時、毎日のように同じ場所で、同じ格好で立っているので目についたのです」。ブラ平と蘭兵衛が三条大橋を訪れると確かに広重の話通り男が佇んでいる。蘭兵衛は橋桁に印がついているのを見つける。そこを切れば橋は崩れるはず。お艶によると男は京都所司代の見張り役だ。その頃。お艶は小駒に蘭兵衛を好きになってはいけないと忠告していた。高野長英は信念を貫くため許嫁を捨てたほどの男だ。小駒は草津の宿で一緒になった盲目の佐市(いも安)と千代(服部妙子)父娘を見つけて声をかける。お艶は「三条大橋」で見張り役の男の傍に盲目の琵琶法師が描かれていたことを思い出す。その夜、佐市と千代に京へ来た目的は検校の位を得るためではと聞くと佐市は突然怯えながら取り乱す。検校は盲人にとって最高の位だ。最高位の検校になると高利貸し業を営むことができる。ところが検校を得るには京の公家・久我家から検校の位を授けてもらわなければならないが、手数料に千両もの大金がかかる。公家は貧乏のため手数料の値を釣り上げていったらしい。見張り役の目明し・安次は佐市父娘を見つけると京都所司代に案内する。小駒は二人を見送る。京都所司代の役人・斎藤嘉兵衛は検校の手続きを行うため早速上納金を預かり、仮の受取証を発行するが、手続きが完了するまで四、五日かかると説明する。その頃、蘭兵衛は公家の久我を訪ねる。すっかり貧乏が板につきいてしまい、戦も乱もなくなり公家は上がったり。「今や幕府の屋台骨はばらばらです。今に乱が起きるでしょう」「またあんた担ぐんじゃないでしょうな~」。久我によると検校の申請に来る人は「一人もおりまへん。近頃の座頭は検校が欲しゅうないんでしょうかな」。手数料も五十両だが「それでも儲かりまへんねん」。所司代の斎藤は目が見えないことを利用して検校の申請に来た座頭から上納金を騙し取っていた。口封じのため佐市父娘を殺す算段になっていたが、小駒に声をかけられたため実行できなかった。お艶は佐市父娘にこのままでは検校の位は得られないのではと話す。佐市は地獄のような苦労を重ねてきた。角づけでは僅かばかりの日銭しか稼げない。そのため自分と同じ盲目の妻を旅の途中で亡くした。佐市は検校の位を得ようとするが、千両を工面することなどできるはずがない。そこで「私は目の見えない仲間に声を掛けました。皆つらい思いで生きている連中です。食うのがやっとという連中ばかりです。でも私は根気よく声を掛けました。検校になればもっとましに暮らせる。一人ではダメで大勢ならできる。この金は四十二人の千両です」。検校の位は代表して佐市が得るが、江戸で仲間たちが帰りを待っている。「私は何としてでも検校を江戸に持って帰らなければならんのです!」。そんなこんなで佐市父娘は安次に荒寺へ案内される。安次の手下が二人を始末しようとするがブラ平の火炎放射で丸焼け。しかし安次が手にしていた刀が佐市に突き刺さってしまう。安次は逃げ出すが、久我を連れてきた蘭兵衛と鉢合わせ。「逃げてもらっちゃ困る」「どこかで見た顔や!」「思い出してもらっても困る」「高野~!」。蘭兵衛は安次を斬りつけるが取り逃がしてしまう。それよりも佐市に検校の位を与えるよう久我に迫る。その頃、祇園ではお艶と小駒が斎藤に踊りを披露していた。そこへ安次が「あいつら高野の仲間や!」と駆け込んでくる。 しかし瞬殺。一方、蘭兵衛たちは捕り方に追われ、佐市は息を引き取る。泣き崩れる千代に蘭兵衛は「お千代さん生き抜くんだ。俺も生き抜く。お父さんのためだけじゃない。江戸にいる四十二人の仲間のためにも生き抜いてくれ」と諭すとブラ平に顔を焼くように頼む。「私にはまだまだやらなきゃならないことがいっぱいあるんです」。その後、お艶は京に到着した広重と再会すると「三条大橋」の絵について尋ねる。「これは幕府に差し出すのをうっかり私に差し出したんでしょ?」。倒幕の軍勢が西から動いた時、三条大橋を崩して動きを防ぐ。「東海道五十三次」の裏の裏には幕府の防ぎ様が描き込まれている。つまり広重は幕府の隠密。蘭兵衛こと高野長英への不意の追手も広重の密告によるものではと迫る。広重はかつては隠密だったことを認めるが今は一回の絵描き。「長英さんを密告するなんてしてませんよ。断じて」「証拠は?」「証拠?それは残念ながらありません」「じゃあ仕方ありませんね」。お艶は広重に撥を向ける。一瞬広重の断末魔が脳裏をよぎるが、広重は筆を取り出すと一心不乱にお艶を描き始める。「お艶さん・・・一度貴女を描きたかったんですよ。どうぞ遠慮なくやって下さい。できれば描き終わるまで待っていただきたいんですが」。翌朝、お艶たちは三条大橋で検校の目録を手にした千代と再会する。千代は佐市の身代わりに自ら目を潰していた。目録には佐市と書いてあるだけで性別や年齢は書かれていない。必ず目録を江戸へ持って帰る。心配する小駒にお艶はきっとやり遂げると言って巡礼姿の千代を見送る。しかし三条大橋を渡ったところで台八車に轢かれそうになる。男が千代を庇うが、その顔は火傷を負った蘭兵衛だった。二人の後ろ姿を見届ける小駒。お艶は塩八と蘭兵衛を思い出しながら江戸を目指す。お・わ・り