おしどり右京捕物車 第26話「愛(あい)」
先日ジュリーのレコーディングに参加(実話)。おしどり右京捕物車 第26話「愛(あい)」世情不安が続く江戸で世直し組が暗躍。金持ちの商人を襲っては金品を強奪。その活躍に庶民は大喝采。噂によると元北町奉行所の与力も加わっているらしい。一方、奉行所の評判はがた落ち。世直し組は大塩平八郎の乱の流れをくんでいるが、奪った金品が貧民の手に渡った話を未だ聞いたことが無い。そんな中、越後屋から用心棒にスカウトされるがはなは反対。越後屋は悪徳な買い占めで米の値段を釣り上げていた。しかも世直し組を捕まえると世間から爪弾きにされてしまう。しかし右京は内実の伴わない大義名分が許せないと怒りまくる。納得できないはなは、ある日越後屋が番頭と交わしている話を偶然聞いてしまう。「ネズミ退治に猫を一匹飼ったと思えばいいじゃないか」。右京ははなの話を聞いて越後屋から引き上げることにするが、世直し組を誘き出す作戦だった。夜になり越後屋に戻ると言う右京にはなは怒る。せめて一度だけでも自分の言うことを聞いても良いのではないか。腕も肩も脚も太くなってしまった。しずからもらった着物を着ることも出来ない。「恨んでるんじゃありません。こんなになるまで一生懸命車を押してきたんです」「越後屋が何と言っているか。神谷は猫だって・・・ネズミ退治の猫だって!」。泣きながら訴えるはなに「猫で結構。俺は所詮ネズミ退治だけが生甲斐だ」と冷たく言い放つ。泣き止まないはなの肩に手をやる右京。その夜、右京は這いながら越後屋に向かう。その姿を見てはなは右京を手押し車に乗せる。「所詮私はあなたの脚でしかないんです」。そんなこんなで世直し組と大乱闘。そこへ秋山たちがなだれ込む。翌日、越後屋から報酬が支払われるがはなは受け取りを拒否。そんなことよりも米を安く売るよう要求するが右京は受け取る。「俺は猫だ。猫なら働いた後で鰹節をもらうのは当然だろう」。世直し組を捕まえたことで右京は世間の批判に晒される。秋山は世直し組のアジト襲撃を右京に依頼する。昨夜捕まえた連中は下っ端で、本隊は木製の大筒を使って江戸を火の海にすることを計画してている。このままだと奉行所に不満を持つ町人たちが暴動を起こしかねないが、世直し組の本当の狙いが知れ渡れば怒りの矛先は変わる。右京とはなは世直し組のアジトで大乱闘。大砲に鞭を括りつけて手押し車を自ら引き寄せる。発射の瞬間、大砲の向きを真上に引き上げる。街中炎に包まれるが秋山たちによって世直し組は全員捕まえられる。はなは右京に謝る。「単なる脚でしかない私が物を考えたり意見を言ったりしてはいけなかったんですね」。事件は解決したが、今度は世直し組に元与力がいたことに対する怒りが奉行所に向けられる。流言飛語に過ぎないが、何らかの形で示さなければ治まりがつかない。秋山は右京に「世直し組の元与力」として江戸から立ち去るよう頭を下げる。秋山の辛い立場を理解しようとせず、毅然とした態度を取らない奉行所と秋山の姿勢に右京激昂。二人は決裂する。「あの時、大砲の下で死んでしまえば良かった」。はなは下総行きを提案するが右京のプライドが許さない。翌朝、暴徒化した人たちが寺に押し寄せる。右京ははなが流産した時のことを思い出し、寺を去ることを決意する。しかしその方向は下総ではなかった。右京とはなの前に立ち塞がる秋山。秋山は最後まで説得を続けるが、これまでの報酬を叩き返される。江戸に戻ろうとする右京を見逃す訳にはいかない。右京VS秋山の死闘。「宮仕えの恥知らずめ!」。執拗に鞭で秋山をしばきまくる。止めようとするはなをしずが止める。「秋山は神谷様の手で・・・その覚悟であの人は出てきたんです」。はなは懐剣で右京の右腕を刺す。右京とはなは街中で石を投げつけられながら江戸を去る。観念と音三は二人の行方を知らない。観念は髪を剃って本物の坊主に、音三は商人になると誓う。そして右京とはなは・・・「嬉しそうだな」「だって私があなたを刺したんですもの。あんなに神経を張り巡らせていたあなたが私のことを全く警戒していなかった。嬉しいことはまだあります。腕を使えなくなったあなたはもう私のいいなりですもの」「しかし腕はすぐ治る。また鞭が使えるようになるぞ」「そうしたら今度は本当に腕を斬ります」「それでも俺には目がある」「目を潰します。耳も切ります。舌も抜きます。単なる脚でしかなかった私があなたの全身になれる日まで」。笑い飛ばす右京。「私は真面目です!」。笑いつづける右京の手押し車を押すはな。お・わ・り噂以上の報われない最終回。これまでの積み重ねを全てぶっ潰した張本人はご存じ佐々木守。しかも最終回だけ登板。『アルプスの少女ハイジ』を書きながらこんなのも書いていたのか。何が正義か、正しいことなのか猛烈に混乱。信じていた価値観は簡単なことでひっくり返されてしまう。しかし、右京、はな、秋山は最後まで自分だけを信じ続けた。それが答えなのかもしれない。