必殺仕置人 第26話「お江戸華町未練なし」
悪いけどお前一万円ばかり貸してくれねえか? 車寅次郎 必殺仕置人 第26話「お江戸華町未練なし」全然雨降ってません。そのうえ疫病が発生、奉行所のお達しで全ての井戸の使用が禁止される。その指揮を執っているのが岡っ引きの寅松。おみ乃は病身の父親のため井戸の水を汲もうとするが、寅松の手下・辰三に見つかりなぐさみものにされる。そのことを知った父親の佐平は、半次とおきんに仕置人を探し出して怨みを晴らしてほしいと頼む。ただし超貧乏のため頼み料はおみ乃が汲んできた水。そんな激安仕事を鉄はお断り。人情話も大嫌い。結局おみ乃が汲んだ水を飲まなかったため佐平は亡くなってしまう。おみ乃はまたしても辰三に襲われるが簪で刺して抵抗。そのことで主水率いる捕り方たちに捕まってしまう。主水は鉄、錠、おきん、半次を集め事の次第を整理。全員しょんぼり。さっさと仕置をしていればこんなことにならなかった。頼み料が激安すぎるがおきんは「銭金じゃありませんよ!」とぷんすか。元はと言えば井戸まで使えないようにした御政道が悪い。しかもどんな疫病が発生し誰が罹ったのか誰も見たことがない。寅松たちが公儀御用水として井戸から大量の水を汲み出しているところを鉄が目撃している。主水は筆頭与力の塩見に疫病発生を訊ねるが、疫病は発生したのではなく発生する恐れがあるため井戸を閉鎖したという。「人々の苦しみ目に余ります」と意見するが寺社奉行の管轄と一蹴される。しかし実際には造り酒屋、酢や醤油など水物を扱う商人などに横流しされていた。主水はおみ乃救出のため鉄を牢に連行。おみ乃を連れ出し、打ち合わせ通り自分を殴ってから逃げろと鉄に指示。容赦なく二発当て身を食らわす。「ばか野郎~少しぐらい手加減しろよ・・・」主水気絶。その後、錠が用意した棺桶に隠してしれっと移動。追いかけてきた町方たちを「疫病が伝染っても知らねえよ」と煙に巻くが、同心が蓋をこじ開けるとおみ乃を発見。大乱闘の末、無事に観音長屋へ。おみ乃に早く江戸を離れるよう鉄は財布まるごと、錠は佐平の位牌と遺骨を渡す。「いいとこあるじゃないか~」「気が利くねえ」とおきんと半次は感心。「人情でやってるんじゃねえ。詫び料よ」「仏さん扱うのは俺の商売だ」と仏頂面で照れ隠しする鉄と錠。おみ乃を見送る鉄たち四人。その顔を寅松の手下が目撃していた。主水は塩見が南町の筆頭与力・神島、寺社奉行組頭・沢井と結託、水の横流しで儲けていたことを突き止める。一方、寅松の情報で鉄たちの人相書きが作成。しばらく続いていた鋭い刃物と骨を砕く手口。仕置人の正体は鉄たちと断定。鉄と錠の人相書きが町中に貼られる。四人は潜伏するが何故かおきんと半次の手配書は出回っていない。そこへ主水の手紙が届き、塩見らの企ての全貌を知る。そんな中、油断していた半次が捕まる。半次を餌に鉄たちを誘き出す作戦であり、早速半次の打ち首が決まる。「念仏。タダ働きしねえといつも言ってたな?今度は違うぞ。一丁やるか!」と錠激昂。鉄はそのつもりだ。仕掛けられる前に先手を打つ。「相手にとって不足は無え。乗るかそるか。どっちに転んでもこれが年貢の納め仕事だ」。主水も「そうと決まれば俺も命賭けるぜ」と腹を括る。「八丁堀、錠、おきん。銭勘定しねえで危ねえ綱渡りをするのはばかばかしいようだが何となくマシな人間になったような気がするじゃねえか。力あわせてやろうぜ」。作戦開始。おきんが沢井に薬品ぶっかけ。苦悶する沢井から貯め込んだ金を強奪。主水は神島を訪ね、刀の目利きと称して神島の胴太抜で偽装割腹。そして豪雨の中、半次の処刑が決行される。そこへ鉄と錠が乱入。刀を奪った鉄が塩見の首に突き付ける。「貴様何者だ!」「闇の仕置人だ!」。その間に錠は半次を救出。大乱闘。「水不足をいいことに私腹を肥やすとは薄汚え野郎だ!」鉄は塩見の背骨を砕き、錠は寅松を刺殺する。廃屋に集まった鉄たちの許に旅姿の主水が駆け付ける。江戸を離れる鉄たちに主水もついていこうとするが反対される。「しかしお前たちと別れるのは・・・」。鉄は「別れるのはお前一人じゃねえ。皆ここで別れるんだ」と衝撃宣言すると一文銭を取り出す。表が出たら一緒に道中、裏が出たら別れる。「裏だ!決まった。別れるぜ」と早々に出発。「生者必滅会者定離。あばよ!」。錠、半次、おきんも小屋を出て行く。一人残された主水。一文銭は裏が出るよう細工されていた。「世の中、裏目ばっかりよ」とニコニコの鉄。橋に腰を下ろしているおきんと半次。「半公これからどうする?」「どうする?どうしよう」「見てごらんよ。広いねえ」「広いねえ」「日本は広いやあ」「日本は広いや。じゃさいなら」。舟で川を下る錠。奉行所に出勤する主水。「仕置。法によって処刑することを江戸時代こう呼んだ。しかしここにいう仕置人とは法の網を潜ってはびこる悪を裁く闇の処刑人のことである。ただしこの存在を証明する記録、古文書の類は一切残っていない」(ナレーター:芥川隆行)。お・わ・り痛快バイオレンス時代劇『必殺仕置人』今回をもって終了。予定通り深作欣二が登板していたもっとエライことになっていたかも。そして一人江戸に残った中村主水。本作では三番目のポジションですが、のちに意外な姿で再登場。鉄、錠、おきん、半次とも衝撃的な再会を果たします。