赤い運命 第28話「運命の父と娘に幸せは?」
ヤッターマン4号。 赤い運命 第28話「運命の父と娘に幸せは?」いよいよ第二審が二日後に迫っていた。吉野は大竹ファミリーが東京に戻っていたことを知る。大竹社長の弟(おおとりゲン)はぜひ大竹夫人に会ってほしいと申し出るが「終わったんです。少なくとも私の中では」と断る。立ち去る吉野の後ろ姿を見つめる大竹夫人=世津子。一方、直子は俊介の愛を断ち切り、その思いをいづみに譲り渡す。「ホントにいいの?」。直子の意思は変わらない。でも本心は、つらい。いづみと俊介が一緒に生活している様子を見届ける吉野。俊介は自分の父親を殺した島崎の娘の愛を受け入れることで、島崎の生きざまを自分に課したい。そのことが島崎の更生を願う吉野の意思を受け継ぐことにもなると語る。そんなこんなで吉野は河野を訪ね、島崎の解放を直談判。島崎は今もホテルに監禁されていた。吉野から直子が一人アパートで帰りを待っていること、いづみは加代のもとに戻ったことを聞かされる。そして第二審に必ず出廷し、検察官から証人を突き付けられる前に真実を述べるよう説得される。そこへ直子も現れ、新しい下着を差し入れる。俊介との件を聞くと「だって私よりいづみのほうがずっと俊介さんを愛しているんですもの」。そして島崎の帰りを待っているという。「そいつあ~いけねぇよ!吉野さん、直子をあんたんちに連れてってくんね-か?」。島崎しょんぼり。しょんぼりすぎて笑いがこみあげてくる。「これでもう思い残すことはねーや」。そんなこんなで吉野のもとにかつて島崎と一緒に満蒙開拓青少年義勇軍にいた男が訪ねてくる。先日、島崎が埼玉でメイツ星人を襲撃したことを聞き、なんとか止めさせようと探しまわっているとのことだった。そして第二審の当日、二人は河野を訪ねるが島崎はとっくに解放された後だった。「却って河野の安全ヤバくね?」。これから河野は講演会を予定、聴衆ぎっしりなのでむしろ安全とのこと。しかし島崎はまだ裁判所に出廷していない。案の定、島崎は会場に紛れこんでいた。日の丸をバックにスーパーライトな国防論を語る河野。吉野に気づかれた島崎はおもむろに立ち上がると出刃包丁を振り上げて河野を狙う。止めに入る吉野。日の丸を前に大乱闘。島崎の出刃包丁は誤って吉野に突き刺さる。取り巻き連中に取り押さえられる島崎。「チキショー!満州やシベリアだけじゃ飽き足らず日本中を皆殺しにするつもりか!!チキショー!!」。血だらけになった吉野は島崎を殴りつける。吉野の返り血を浴びた島崎は日の丸を握りしめて泣き続ける。日の丸は血に染まるが島崎に引きずり落とされることなく壇上に掲げられたまま。「ごめんなさい!許して下さい!」いづみは泣き崩れるが吉野の優しさにそれ以上言葉が出ない。警察に連行される際、島崎は吉野、直子、俊介、いづみと鉢合わせになる。四人も島崎を見つめる。「どうして!どうしてこんなことを!!」島崎に詰め寄るいづみ。吉野はいづみを止めると、その手を島崎の手に握らせる。島崎は吉野の帰り血で真っ赤になった右手でいづみの手を握り返す。「俺なんてどうせ戦争が終わった時・・・だがお前が・・・」「お父さん!」そして直子も「お父さん・・・」。その後、第二審が開かれ、吉野は弁護側の証人席に立つ。「このたびの島崎君、被告人の行為は31年前の戦争によって引き起こされた数多くの悲劇の象徴の一つであります。戦後30年、被告人は激しい人間不信の中で生きて来ました。彼をそのような気持ちに追い込んだのは国家の手による個人に対する大きな犯罪の結果であります。私は不思議な運命に手によって二重三重に島崎の人生に結び付けられ、彼の心の暗黒を知るに至りました。30数年前、虚しく異国の地で死んでいった同胞たちの恨みを晴らすことだけが彼の人生の目的でありました。しかしその国家という巨大な怪物の手によって歪められた彼の人間性は果たして島崎個人の罪と言うべきものでしょうか。彼の人間不信も法治国民らしからぬ生き方もすべて巨大な矛盾に満ちている、弱者を飲み尽くす者への虚しい犯行なのであります。この島崎に過酷な悲しくも愚かしい生き方を思って、私は彼の人生に関わらずにいられなくなってしまったのです。この島崎君は徐々に人間の善意を信じ始め、少しずつ揺れ動いてきたことを私たちは見たのです。彼は激しやすい人間ですが、本心は子どものように純なのです。その島崎が再び激情の刃を翻した時、私は自分の身体で阻止せずにはいられなかったのです。なぜならばそれが国家権力の末端に繋がる検事を天職としていた私の島崎に対するせめてもの詫びと思ったからです」。島崎に犯行時のやり取りが幻聴となって聞こえる。直子と目が合う。涙を流しているいづみ。寄り添う俊介。加代も涙を浮かべている。「あの・・・やった・・・殺しは・・・」。吉野とも目が合う。「起訴状に・・・間違いはございません。どうも、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」。直子とは目を合わそうとしない。その後、直子は吉野いづみとして吉野のもとに帰る。お・わ・り『赤い運命』は同じく佐々木守が手掛けた『怪奇大作戦』第4話「恐怖の電話」(2013年11月18日参照)の大幅なセルフリメイクだと思っていた。実際そんな感じで書き進められたと思うが、最終回の展開が『ウルトラマン』第23話「故郷は地球」(2015年10月9日参照)とそっくりでびっくりした。ジャミラをそのまま島崎に置き換えることができる。また、その逆も。佐々木守(元共産党員)は自分の思想を「公共の電波」と「娯楽」を駆使して主張しまくり。それで高視聴率が取れてしまうので誰も文句が言えない。しかも泣かせる。ものすごい作家。ちなみにメイン監督の降旗康男もガチの共産党員だったりする。